3位決定戦で学法石川が4-3で相馬東を下し、3年ぶり20度目の東北大会出場を決めた。初回に3点を先制されながら、2点差で迎えた5回裏に倉田春也外野手(1年)の3ランで逆転し、継投で逃げ切った。仙台育英(宮城)時代に春夏合わせて甲子園に19回出場し、2度の準優勝を含む29勝を挙げた佐々木順一朗監督(60)が18年11月に就任。99年夏を最後に甲子園から遠ざかる古豪が、センバツを目指し東北大会へ乗り込む。決勝は東日本国際大昌平が5-1で福島商を下し初優勝した。

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百戦錬磨の勝負師の勘がさえ渡った。今大会、初の4強進出と大躍進した相馬東を相手に、初回3失策で流れを与えてしまう。しかし、佐々木監督は冷静に勝負どころを見極めていた。消沈する選手には「いつものお前たちと違うぞ。まだチャンスはあるぞ」と言い続けた。

そして1-3で迎えた5回裏、先頭の9番高橋に代打桑山凱斗(1年)を送った。初回に3失策が絡み3失点(自責点0)しながら、追加点を許さなかった先発の高橋兵庫介(2年)への代打だった。佐々木監督は「高橋は最後までいけるくらい調子は悪くなかった。でもあの回やらなかったら負けるんじゃないかと思った」。策は的中し桑山は二塁打。続く権守玲皇(ごんのかみ・れお=1年)外野手も安打で無死一、三塁とチャンスを広げると、今度は犠飛を想定し三塁走者を代えた。勝負をかける指揮官の姿に、選手も目覚める。倉田の逆転3ランが飛び出し、一気に波に乗った。前日の準決勝で先発し3回5失点だった2番手立石も、6回から無失点に封じた。

監督就任時、選手を前に「何としてでも、はいつくばってでも甲子園にいくぞ」と宣言した。昨秋は2回戦で聖光学院にコールド勝ちも次戦で福島成蹊に足もとをすくわれた。「勝ってから1週間空いてふぬけになってしまった」。今大会も初戦で難敵日大東北戦に勝利も、集中力は途切れなかった。準々決勝も湯本に逆転勝ち。前日の準決勝では福島商に敗れはしたが、8-2から最後は1点差まで詰め寄った。「負ける気がしないというか、試合をやっていてくじけていないと感じるチーム。まだ冬に入っていないけど冬が楽しみかな」と笑顔を見せた。

発展途上のチームはセンバツにつながる東北大会に向かう。「何とか土俵に上がることができてよかった。大会までさらに強くなるため頑張らないと。何とか食らい付いて、接戦に持ち込んで突破口を開きたい」の言葉に、大きな期待がにじんだ。【野上伸悟】