札幌国際情報高野球部・高橋瑠斗は海猿を目指す。21日に海上保安官幹部を育成する、海上保安大学校に合格した。学科、面接、体力試験など倍率5・57倍の難関を突破。「厳しい場面に身を置き、人のために何か出来る仕事、自分に誇りを持てる仕事がしたかった。しっかり勉強、訓練に励みたい」と気を引き締めた。

幼少期に祖母に連れられて見に行った伊藤英明主演の映画「海猿」がきっかけだった。「小さいころはかっこいいなというぐらいだった。高校2年の冬、進路を考える際、体力には自信があるので、それを生かして世の中に尽くしたいと本気で考えるようになった」。コロナ禍で休校だった昨春は自宅で野球の自主練習の前に計5時間、机に向かった。部活引退後は平日に4時間、土日は10時間、必死で勉強し、合格を勝ち取った。

ピンチになるほど集中力が増す。昨夏は5番遊撃手として南北海道大会4戦にフル出場。18打数12安打6打点、チーム1位の打率6割6分7厘とエース原田航介(3年、今春日体大進学)を援護し、2年連続で南大会準優勝に貢献した。「野球では緊張する場面が好きだった。でも僕は不器用。常に先輩や仲間からたくさんのことを学んで、自分を磨いていきたい」。謙虚な姿勢で取り組み人命救助や、救難の場面で生かしていく。

元日本ハム投手の有倉雅史監督(53)は「正義感があるし根性があって真面目。向いていると思う」。野球は引退するが、高橋は「高校時代に有倉監督から学んだ“人間力”や仲間を思いやる力は、これからも大切なこと。信頼され日本を海から守れる海上保安官を目指したい」。必死でボールを追い続けた経験と情熱を、社会のために生かしていく。【永野高輔】

◆高橋瑠斗(たかはし・りゅうと)2002年(平14)5月26日、札幌市生まれ。札幌発寒西小6年時にビッグホエールズで野球を始める。発寒中から札幌国際情報に進み1年春の全道大会に背番号16でベンチ入り。一昨年夏、昨年夏の南北海道大会で準優勝。家族は両親と妹。177センチ、71キロ。右投げ左打ち。血液型A。