春季全道高校野球札幌地区の組み合わせ抽選が21日に行われ、19年夏以来の単独出場となる野幌は初戦で恵庭南と対戦する。19年秋は江別、札幌南陵、昨夏は札幌白陵、札幌南陵と、昨秋は札幌東豊、札幌北斗と、いずれも3校連合での出場だった。まずはチーム一丸で18年夏以来3年ぶりの得点と、11年秋の札幌地区初戦(7-2札幌稲西)以来10年ぶりの単独1勝を目指す。

ぎりぎりで人数がそろった。20日に初めて部員10人そろっての全体練習を実施。主将の穴田涼外野手(3年)は「何とか間に合った。野幌として勝利を挙げたい」と意気込んだ。

3月まで新3年生5人のみ。単独か連合出場かを札幌地区事務局に伝える期限は4月12日だった。入学式は8日。土日は勧誘できないため、1年生を勧誘するのは9日だけと、ほとんど間がなかった。幸い、9日の練習に経験者3人と未経験者1人の計4人の1年生が参加。この全員が入部すれば単独出場がかなう。

だが、木戸義典監督(45)は3年生に、あえて厳しい言葉をかけた。「そろわなかったら出場辞退になる。そろっても初心者が入る可能性がある。私学と対戦してアウト1つも取れなかったらどうする」。現実をしっかり見据えての判断が大切だと、説いた。

その後選手間ミーティングを開いたが、思いは変わらなかった。穴田涼は「最悪、出場辞退になるのは分かっていたが、そろえられる手応えがあった」。すぐに単独出場の意思を事務局に伝えたが、その後、問題が生じた。新1年生3人は入部決断も、野球未経験の田中翔太(1年)だけ「考えたい」と15日以降、グラウンドに来なくなった。

8人になれば出場辞退だ。穴田涼主将は必死だった。同じ江別中央中出身で、野球未経験も身のこなしが良いと感じていた写真部の岩男拓実(3年)に声をかけた。穴田涼自身も中学までサッカー部。「初心者でも練習すれば少しずつ必ずうまくなれる。一緒にやろう」。この言葉に岩男が決意。「みんなの力になれるなら」と16日に練習合流し、9人がそろった。

登録名簿提出の期限だった19日には、迷っていた田中も「やります」と決断。負傷者が1人出ても試合を続けられる10人での参戦が決まった。穴田主将は「やっとチーム練習ができる」。力を合わせ、念願の初戦へと準備を整える。【永野高輔】