日本ハム大谷翔平投手(20)が、今日27日の楽天戦(札幌ドーム)で自身初の開幕マウンドに上がる。同じく高卒3年目で初の大役を務めた07年ダルビッシュは、ロッテ・ズレータに満塁弾を浴び、6回4失点でチームを勝利に導くことができなかった。だが、大谷には野手として2年連続開幕戦出場の経験がある。「二刀流」の強みを生かし、背番号11の先輩が手に出来なかった白星をつかむ。

 開幕前日の最終調整。大谷で際立ったのは、笑顔だった。「(緊張は)今のところ特にないですね。自然に入れたらいいです」。チームメートと、裏方スタッフと、ことあるごとに談笑し、白い歯がこぼれた。

 高卒3年目、20歳で開幕マウンドに上がるのは、球団では07年のダルビッシュ以来。MVPや沢村賞を獲得し、メジャーでも3年連続2桁勝利を挙げている大先輩でも、初の開幕マウンドはズレータに満塁弾を浴び6回4失点で白星はつかめなかった。「あれだけすごい投手でも、シーズンの最初は難しい。それだけ、力が発揮しにくい環境なんだろうと思う」。大谷は自身に置き換え、気を引き締めた。

 だが、大谷にはあって、当時のダルビッシュにはなかったものがある。開幕戦の経験だ。「8番右翼」で出場し2安打1打点の一昨年、「3番右翼」で2安打した昨年と、2年連続の開幕スタメン出場。「試合を大きく左右するのは投手」と重圧、緊張感の大きさこそ違うが、雰囲気を感じた経験は、投打「二刀流」をこなす大谷にしかない強みだ。

 送り出す栗山監督は「姿を見せろ」と言った。マウンドで見せる戦う姿勢が、チームのスタートダッシュを左右する。大谷も自覚は十分。「カードの最初は取りたいですし、それがシーズンの最初なら、もっと(みんなが)硬くなる。(自分が)いい入りができれば違う」。初回から全力で飛ばし、背中で引っ張る。

 ブルペンでは約30球を投げ、最終調整を終えた。オープン戦での2試合連続乱調、発熱によるダウンと困難はあったが、無事、ひのき舞台に上がる。「うれしいですし、開幕カードのマウンドに立てるのは幸せ」。最高の開幕戦にする。【本間翼】

 ◆07年3月24日ロッテ-日本ハム(千葉マリン)VTR プロ3年目で日本ハム・ダルビッシュが初の開幕投手を務めた。日本ハムは3回に田中賢、木元の適時打で2点を先制。6回にも2点を追加した。しかし、その裏にダルビッシュがズレータに満塁本塁打を浴びて同点。7回表に降雨コールドとなり引き分けた。