花冷えの甲子園で阪神マウロ・ゴメス内野手(30)のエンジンはかからなかった。1回2死二塁で空振り三振したのが尾を引いたのか。2回無死一塁。黒羽根のバントがはずみながら一塁線に向かう。切れる…。白線をまたごうとする白球をつかむと、一塁送球はベースカバーに入った上本の頭上を越えて、ファウルゾーンを転々…。判断のまずさ、痛恨の失策に、マンモスからため息がもれた。
瞬く間に無死二、三塁になり、能見も耐えきれずに4失点。序盤の不利な展開を覆せず、甲子園開幕戦は完敗だった。今季初の3連敗で勝率5割に逆戻り。3位タイに後退した和田監督もゴメスの空回りを「集中力というか、打てないことが守備に影響している。打つこと、守ることを切り替えないと。開幕当初、止まっていた球に手がでてしまう」と嘆くしかなかった。
指揮官の心配が的中してしまった。この日の試合前練習ではゴメスのフリー打撃を真横から仁王立ちでチェック。「(気持ちの)ノリが悪いんだよ」と首をかしげていた。本調子にならない違和感が招いた不調とみていた。開幕カードこそ好発進したが、3月31日ヤクルト戦からの東京遠征6試合は20打数4安打、打点なしと急降下した。投手との間合いは狂い、苦戦する姿は変わらなかった。
象徴的だったのは先頭で迎えた4回だ。直球勝負を挑む井納に2球で追い込まれた。3球目の148キロ高め速球も打ち損じて遊ゴロに倒れる。不振は明らかだった。4番が得点圏で振るわないから打線は活性化しない。1回は低めフォークにバットが止まらず空を切ったものだった。5回も2死一、三塁で外角低めスライダーを引っ掛けて三ゴロに終わる。セオリー通りの配球であっけなく凡退してしまう。昨季、ほとんど見られなかった光景だった。
14年打点王が調子を上げないと虎も浮上しない。まだ開幕から10試合。ドタバタしないが、一抹の不安がよぎる敗戦になった。この日、5打数無安打のゴメスは引き揚げ際に言う。「シーユートゥモロー」。戦いはすぐにやってくる。不動の4番は仕切り直して打席に向かう。【酒井俊作】



