中日が、今季7度目の延長戦を劇的に制した。同点の延長11回、平田良介外野手(27)が今季1号の決勝ソロを広島ヒースから左翼席にたたき込んだ。「打った瞬間に入ると思った。1戦1戦負けたくない気持ちを強く持っている。どんな点差でもあきらめない気持ちでやっている」。粘り勝ちにヒーローは力強く語った。

 先発はプロ未勝利の20歳若松駿太投手で、黒田との対戦だった。快調に0点を重ねる20歳の力投に、打線が波乱の連続を乗り越えて応えた。不動の4番ルナが右肘痛で欠場。急きょ練り直した打順は1番エルナンデス、3番大島、4番にはプロ初の大役の福田だ。その福田が4回に黒田から先制三塁打。「打順は意識しなかった。前回は(黒田に)手も足も出なかったので絶対打ってやろうと思った」。6回1失点と好投した若松を勝利投手にはできなかったが、最後は3番から6番に下がった平田が決めた。

 谷繁兼任監督は「最後、本塁打という最高の形で1点取れたけど、今日は全員で取った勝利」。延長戦では7試合中4勝目、4月だけで5度のサヨナラ勝ちを経験した指揮官でも喜びがひとしおだ。7回に本塁突入した武山がクロスプレーで右足首を負傷。松井雅も交代しており、谷繁監督も7回裏から出場。二盗も防ぐなど「選手」として貢献した。アクシデントも巨大な相手もチーム一丸で乗り越える。好調中日の要因が詰まったビジター2勝目だった。【柏原誠】