暴れ獅子が二塁打の舞いを披露した。西武が全8得点を二塁打以上で挙げるなど、球団記録となる9本の二塁打を重ね、17安打の猛攻で逃げ切った。25年ぶりに2戦連続で先発全員安打もマーク。ドラフト2位ルーキー佐野がプロ初登板初先発で4回3失点だったが、絶好調の打線が黒星デビューをかき消した。2位ソフトバンクに2・5ゲーム差と首位固めモードに入ってきた。

 広大な札幌ドームを守る日本ハムの俊足外野陣の間を面白いように射抜いた。2点を追う5回無死二、三塁。4番中村が内角低めのツーシームを左中間に運び、同点とした。さらにメヒアの低空弾道のライナーが投手、二塁手、中堅手を次々と抜き去って逆転に導いた。7回にも金子侑の適時三塁打、秋山、栗山の連続適時二塁打で3点を追加。8回にメヒアが放った9本目の二塁打が、プロ野球記録の楽天の11本に次ぐ球団新記録だった。

 田辺徳雄監督(49)は歴史的な乱れ打ちに「そうなの?」と驚きながらも原因を探った。「大振りせずにミートしている。それも要因」と分析した。昨年はリーグ最多の本塁打を放ちながらも、三振数はプロ野球ワースト記録を更新してしまった。だが今年は“つなぎ”の意識が高い。浅村がシーズン87個のペースで四球を選んでおり、中村は得点圏打率で3割4分2厘をマーク。一方で得点圏での本塁打は1本のみで、三振率も1割7分と得点圏以外での2割9分5厘から減少している。宮地打撃コーチは「1発が欲しいところでチーム打撃を意識している」と変化を感じている。

 長距離砲がつなげば、打線全体に波及する。主将の栗山は「二塁打は狙っては打てない。僕らは会心の当たりが二塁打」と笑いながらも、「中村、メヒアとか低いライナーを意識して打っているのを見れば、他の打者にも伝わる」と相乗効果を認めた。

 12球団トップの70二塁打と追随を許さない。14本で“二塁打王”の森は言った。「今は状態がいいから外野の間を抜ける。悪いと抜けない」。シンプルな言葉が打線の好調を端的に言い表していた。1発だけではない、変幻自在に長打を繰り出す強力打線で頂点を極める。【広重竜太郎】

 ▼西武は12日に次いで先発全員安打を記録。2試合連続での先発全員安打は今月1、2日に日本ハムが記録しているが、西武では90年4月28、30日のロッテ戦以来、球団25年ぶりのこと。

 ▼西武が二塁打9本を放った。パ・リーグのチーム1試合9二塁打は楽天が13年8月4日日本ハム戦で11本打ったのに次ぐリーグ2位タイで、西武では過去4度あった8本を更新する球団新記録となった。