ああ…4点リードだったのに…。ああ…阪神初の交流戦2カード連続勝ち越し発進だったのに…。「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で、虎がまたも獅子の主砲、中村剛也内野手(31)のビッグショットに沈められた。7回に2番手の安藤優也投手(37)が逆転3ランを被弾。4連勝後の連敗で、交流戦単独1位を守れず、5月の月間負け越しも決まってしまった。

 こればかりは、ないものねだりをしても仕方ないのだが…。アーチ欠乏症の阪神が本塁打の破壊力を思い知らされた。陽光差し込む爽やかな西武プリンスドームで地獄を見た。6回までに4点リードする優位な展開は7回に暗転する。大砲中村のひと振りは左中間席に吸い込まれ、マウンドの安藤はぼうぜんと立ち尽くす…。痛恨の逆転3ランを食らう悪夢の光景だった。

 盤石の試合運びが崩れるショッキングな敗戦だ。和田豊監督(52)も「(被弾を)防ぎようがないと言ってしまったら、我々の商売にならない。あそこを抑える工夫をしていかないと。4点リードしているゲームなんで、逃げ切らないといけない」と渋い表情。好投していた先発能見から継投でしのぐシナリオは実らなかった。

 7回に能見がつかまり、1点差に迫られる。なおも1死一、二塁でクリーンアップ。制球力があり、経験豊富な安藤投入は自然な流れだ。浅村を見逃し三振に封じ、前日5月30日に2発浴びた中村との対戦。初球は外角球でファウル。2、3球目の低めの誘い球に乗ってこない。カウント2-1でバッテリーは内角へ。球威で詰まらせたい思惑もあっただろう。だが、わずか真ん中に寄ったシュートを完璧に仕留められた。

 手を尽くした結果が最悪の被弾。安藤が「打たれたから甘かったんでしょう。狙い通りには投げられたんですけどね…」と険しい表情で振り返れば、中西投手コーチも「ちょっと中に、ボール1個分、入ってしまった。内は絶対にマークしていないと思う」と苦虫をかみつぶす。ベテランの技量を敵の主砲がパワーで上回る。多くの本塁打を望めない阪神にとって、迫力たっぷりの1発攻勢は、もどかしく映るばかりだった。

 ちぐはぐさは試合中盤からあった。5回、マートンがこの日2度目の死球を左手甲に受けると阪神ベンチから首脳陣が飛び出して炭谷に抗議。両軍が入り乱れて一触即発になった。輪が解け、警告試合が告げられると、和田監督や平田ヘッドコーチらが吉本球審に詰め寄る。「ぐずぐず言ってもしょうがないけど…」と指揮官。一方的に死球を受け続けただけに、納得がいかないだろう。交流戦4連勝で勝率5割に戻した後、西武の重量打線に屈して連敗した。5月は12勝13敗で2カ月連続の月間負け越しも決定。交流戦で勢いをつけるはずが、また足踏みしてしまった。【酒井俊作】

 ▼阪神が4点以上のリードを守れず逆転負けしたのは、5月22日DeNA戦(横浜)で5-0と先行しながら5-6でサヨナラ負けして以来、今季2度目。交流戦では、08年5月28日ロッテ戦(甲子園)で4-0から逆転を許し4-5で敗れて以来、7年ぶり2度目となった。阪神は5月に25試合を戦い12勝13敗。4月の10勝13敗に続き2カ月連続負け越しとなった。また、阪神が交流戦の1カード目に勝ち越していたケースは05年(日本ハムに2勝1敗)06年(ロッテに2勝)の2シーズンあったが、2カード目はともに1勝2敗と負け越した。