みちのくのドラフト候補右腕が初戦で散った。仙台大(仙台6大学)の熊原健人投手(4年=柴田)は、13三振を奪いながら3失点。九州産業大(福岡6大学)に敗れた。ボークや失策など守備の難が失点につながったが、最速150キロをマークするなど12球団約80人のスカウトの前で、あらためて能力の高さを見せつけた。

 宮城・角田市が生んだ152キロ右腕熊原が、ドームの洗礼を浴びた。試合前のブルペンで「ストレートが走っていたし、球威もあった」と感じる通り、調子はこの春一番の絶好調だった。だが、自信を持って投げたストレートを初回から狙い打ちされた。

 さらに、アクシデントに見舞われた。慣れない屋内での投球に「サインが暗くて見えなかった」。1失点した後に千葉俊捕手(3年=盛岡大付)と相談し、サインをわかりやすいものに変更。それでも呼吸が合わず、千葉が無理な体勢で捕球する場面が多く見られた。平常心を失ったからか、ボークや投ゴロの処理を失敗するなど簡単なミスも連発。「全国では、1つのミスが命取りになる。いつも通りに投げることをテーマに掲げていたんですが、このざまだった」と反省した。

 それでも「指のかかりは良かった」と直球は常時140キロ中盤をマーク。冬から磨いたスライダーでカウントを取り、13三振を奪うなど、ネット裏に集まるスカウト陣に光る投球を見せつけた。ボールを受けた千葉も「この春一番良かった」とエースをたたえた。

 地元から応援に来てくれた500人の応援団と引退する仲間に勝利を届けられなかったことも「悔やまれる」と話し、「悔しさをバネに、全国で勝ち進められるように練習していきたい」。秋の神宮大会でのリベンジを誓った。【高場泉穂】