オリックス近藤一樹投手(32)が、4年ぶり勝利でチームを3連勝に導いた。今季3度目の先発で6回3失点。11年8月31日ソフトバンク戦以来の白星だった。

 前回勝利後に4年連続で右肘を手術。育成契約も経験したかつての甲子園優勝右腕が復活した。ウイニングボールを受け取ると「すごく久しぶりの感覚。僕でも勝てるんだなというのが一番です。思い返せば4回手術したり、リハビリをしたり、育成になったりいろいろあった」としみじみ言った。1411日ぶりの味を静かにかみしめた。

 中継ぎから2カ月ぶりの先発に抜てき。1回に11球で先制された。8安打を浴びながら6回まで粘った。3年間未勝利だった男の執念が詰まった96球だった。

 08年に10勝してから下り坂。右肘手術の連続で、毎年忍び寄る戦力外の恐怖と闘った。痛みが消えず、引退が頭をよぎったことは1度ではない。背番号は4度変わった。昨オフからは3桁。「正直言って、125番になった時に恥ずかしさがあった。でも、はい上がるんだと自分に言い聞かせた」。この日までの過程を忘れない。今も帽子とアンダーウエアには、育成選手時代の背番号「125」が記されている。

 5歳の長男と1歳の長女には、父がプロ野球選手だと伝えていない。「僕が野球をやっていることを知らないと思う。周りからいろいろ言われますからね」と打ち明ける。8日に32歳になった。4日遅れで自らに誕生日プレゼントを届けた。「自分でありがたくいただきます」と記念のボールをそっとカバンに詰め込んだ。【大池和幸】

 ◆近藤一樹(こんどう・かずき)1983年(昭58)7月8日、神奈川生まれ。日大三3年夏、甲子園で優勝。01年ドラフト7巡目で近鉄入り。08年には10勝し、通算29勝39敗。14年オフ右肘遊離軟骨除去手術を受け、育成契約。今年4月に支配下に復帰。183センチ、80キロ。右投げ右打ち。