さあ、地元福岡で歓喜の舞いだ。ソフトバンクが敵地京セラドーム大阪でオリックスを下し、優勝マジックを1とした。チームをまとめてきた選手会長の松田宣浩内野手(32)が、先制ホームを踏んで9回にダメ押し33号ソロを放った。工藤公康監督(52)にとっても、ファンに恩返しの地元Vの機会がきた。今日17日、本拠地ヤフオクドームで西武を下し、独走Vを結実だ。
運命の糸は、あの場所と結ばれていた。工藤ホークスがマジック「1」で福岡に帰る。勝てば、リーグ連覇だ。「そういう形になった。(本拠地で)試合が4つある。1つも負けるつもりはない。勝って、有終の美を飾りたい。CSもあるが、長いシーズンを戦っての優勝は、価値がある。いい形で終われたらいい」。工藤監督は必勝を宣言した。地元ファンの前で、宙に舞う。最高のシナリオが出来上がった。
選手会長の奮闘で、優勝に王手をかけた。松田が2回に三塁への内野安打で出塁し、盗塁にも成功。先制のホームを踏んだ。そして9回だ。オリックス東明の高めに抜けたフォークを見逃さなかった。右中間席に飛び込む33号ソロ。貴重な2点目の追加点になった。ベンチでは常に声を張り上げ、チームを盛り上げる。試合後はガラガラ声でロッカールームに引き揚げる。工藤監督はそんな姿を見て、目を細める。「おれはマッチを見ていると、勇気づけられるよ」。指揮官も一目置く熱男は言った。「何とか明日、優勝を見せたい。本拠地で行きたいと思います」。
試合後、チームはすぐに宿舎に戻らず、京セラドーム大阪にとどまった。日本ハムがロッテに2点差に追い上げられていた。胴上げに備え、ベンチ裏で待機。ファンもスタンドにその瞬間を待った。結局、この日の優勝はならず。監督や選手らはグラウンドに出て、待ってくれたファンに感謝の気持ちを表した。
期せずして、工藤コールが巻き起こった。指揮官は右手で帽子を脱ぎ、高く掲げた。「最後まで残ってくれた。選手たちもあいさつをしたいと言った。ファンを大事にする気持ち。これは大事にしてほしい」。南海時代の73年以来となる大阪Vは実現しなかった。しかしこれも運命か。昨秋の就任会見で約束した言葉がある。「福岡で恩返しをしたい。九州の方々が残ってほしいという願いをかなえることができなかった分、福岡のみなさんに、今までお世話になった恩が返せるようにしたい」。99年オフのFA移籍の際には、ファンが残留を願い、17万人を超える署名を集めた。地元でリーグ連覇-。恩に報いる時が来た。【田口真一郎】



