競馬界の大スターと感動の初対面を果たした。日本ハム栗山英樹監督(54)が、伝説の名馬ディープインパクトから覇権奪回のヒントを授かった。12日、北海道・安平町にある社台スタリオンステーションを訪問。種牡馬としても大活躍する7冠馬のたどってきた道のりを1日限定で「栗山キャスター」に戻り、牧場関係者らに積極取材。数々の大勝負を制した平成の天馬から選手育成や頂点を極める極意を学んだ。
威風堂々とした鹿毛(かげ)のスーパーホースが目の前にやってきた。午後2時16分。栗山監督が熱望していたディープインパクトとの対面が実現した。すぐさま近寄り、懇願した。「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」。現役時代は14戦12勝(うちG1・7勝)と無類の強さを誇った名馬。「触っていいですか?」。抑えきれない気持ちをなだめながら、左肩付近を優しくなでた。「すごい。ディープ、ありがとう。勝つよ。頑張るからね、オレ」。10分ほどの至極の時間は、あっという間に過ぎた。
強さの秘密を知るべく、足を延ばした。「勝ちきることって、どういうことなんだろうと。たまたま近くに世界一の馬がいてくれた」。社台スタリオンステーションは生活拠点を置く栗山町から車で約1時間の距離。念願かなった栗山監督は、スポーツキャスター時代に戻ったように牧場関係者を質問攻めした。
「普段も穏やかな性格をしているんですか?」
「ディープが一番うれしそうな時は?」
「やっぱり走るのが好きなんですか?」
次々と切り込んでいった先に、野球にも通ずるチーム強化の極意につながる数々のヒントを得た。「ディープは(デビュー前から)真面目で品が良かったと。そういう選手を育てないと安定して勝てない」。現役時代から気性は穏やかで余計なことはしないとのことだった。レースへ向けて無駄な体力を消耗せず、真面目に調教に臨んだ姿を選手育成に重ね合わせた。
人馬に共通する勝負を制する絶対条件も再認識した。デビュー前から牧場を走り回っていたと聞き、「誰よりも走ることが好きだったんだと思う。やっぱり野球も誰よりも好きでやらないと勝てないんだ」と確信した。対面中にはディープインパクトが、芝生をムシャムシャと食べるシーンにも遭遇。「能力のある人は、やっぱり自分のペースを守れる」と、感心した。
他にもキングカメハメハやオルフェーヴルなど、競馬界を席巻した名馬たちとふれあった。「ディープは馬かもしれないけど、我々にとっては大先生」。関係者からディープインパクトのたてがみもプレゼントされ「宝物にします」と、気を引き締めた。オフ恒例の課外授業で収穫たっぷりの貴重な時間を過ごした。【木下大輔】
◆ディープインパクト 05年に中央競馬で史上2頭目となる無敗のクラシック3冠(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)を達成。06年有馬記念などG1通算7勝を挙げた。生涯成績14戦12勝。獲得賞金14億5455万1000円。産駒はG1通算33勝(国内外含む)で、主な代表産駒はG1・7勝ジェンティルドンナ、15年ジャパンカップを制したショウナンパンドラ。
<栗山監督の珍活動>
◆13年オフ 栗山町内を中心にキノコ栽培の名人、ビニールハウス作りにたけた農家らを訪問。「キノコの種って暖かいと育つと思っていたけれど1度、しばれさせる(北海道の方言=凍らせる)んだ。選手も1回、そうやってしたら成長するかも」。
◆14年オフ ヒグマ専門の伝説的な猟師、久保俊治氏(標津町在住)と懇談。ヒグマの冷凍肉、シマフクロウの羽根を2本プレゼントされた。ほか、奈良・東大寺の長老の講話を授かり、座右の銘「未徹在(みてつざい)」に感銘を受けた。劇団四季のミュージカル「キャッツ」も観劇した。
◆15年オフ 昨年12月、毎年恒例の仁木神社を参拝した。北海道の無形民俗文化財でもある「松前神楽」を鑑賞。厄払いとして獅子舞に頭をかまれる場面もあった。



