キャンプでもノンストップだ。右肩手術から復活を目指すソフトバンク松坂大輔投手(35)が宮崎キャンプ初日の1日、捕手を座らせてブルペン投球を行った。新品の投手プレートにスパイクがすべったため、50球でやめたが、それがなければ投げ続けていたのは間違いない。2日前には「止めてください。永遠に投げるので」とリハビリ担当に願い出た右腕は、昨年と違う順調なスタートに表情も明るかった。

 寒い屋外のB組ブルペンが、熱気に満ちていた。大隣、寺原と開幕ローテーションを争う“ライバル”との投球練習。背後からは工藤監督が見守っていた。松坂がキャンプ初日から熱いピッチングだ。

 20球ほど肩慣らしすると、捕手を座らせた。背番号18の真新しいユニホームで、大きく振りかぶって投げ込んだ。右打者の外角低めに威力ある球もあれば、高めに抜ける球もあった。思うように球がいかずに「ああっ」と悔しがる場面もあったが、それも、仕上げるまで踏まなければいけない1つの段階。1球1球バランスやタイミング、フォームを考えながら、50球を投じた。

 2日前の1月30日には立ち投げで88球。どこまでも投げ続ける勢いで、見守っていた鳥井田リハビリ担当に「止めてください。永遠に投げるので」とストップを要求したほど。この日も松坂にストップをかけたのは、痛みや違和感、疲労などではない。「気温が低かったので気をつけながら投げました。新しい投手板のゴムですべったので、足をやりそう(故障しそう)だったので球数は投げませんでした」。気温が9度に下がった環境、さらに投手プレートによる故障を避けるための自重だった。

 今年2度目、日本に帰国して初めて捕手を座らせた。「座るのと立たせるのでは違う。いかに(実戦に)近づけるかということ」と、キャンプ初日から座らせたことに意味を持たせた。「しばらくは真っすぐだけ。A組の方が緊張感がある。Aの方がピリピリしている」。球団からはブルペン連投を禁止されているが、のんびりB組で調整する気持ちはまったくない。

 キャンプ初日のノルマ、12分間走は設定の2800メートルに200メートル届かなかった。「諦めなかったというところを評価してほしいですね」と笑った。屈託ない笑顔こそが、不安なく野球ができていることの象徴だった。【石橋隆雄】