“ウソ”のような、ドタバタ劇での勝利が巨人の今の強さを物語った。10年5月18日の日本ハム戦以来となる1試合5失策を記録するも、2夜連続の延長戦で粘り勝ち。5失策での白星は、57年ぶりという珍事だった。高橋監督は「結果が全て。ミスが多かった試合ですけど、その中で(白星を)拾えたのは大きいですね」と振り返った。

 2試合連続の4時間ゲームを決めたのは、立岡の一打だった。同点の10回2死二塁、中越え適時三塁打で決勝点をマーク。1回に坂本の適時三塁打で先制するも、逆転、同点、勝ち越しと入り乱れる超シーソーゲームを制した。立岡が「絶対に負けないという気持ちを全員が持ち続けているし、今日もそういう気持ちでやれた」と振り返る結束力が勝利のカギだった。

 勝利の一方で、巨人らしからぬミスが目立ったのも事実だった。先発高木は2回無死一、三塁、けん制の際に三塁へ偽投し、痛恨のボークで3点目を許した。3回にはギャレットが一ゴロをはじき、5回には長野が失策。7回にはクルーズがボールを握り損ね、坂本も悪送球するなど、次々にミスが伝染した。

 「勝ちに不思議な勝ちあり」とも言われるが、この日の巨人には勝利の根拠があった。5失策のうち、失点に絡んだのは9回にクルーズが犯した悪送球の1度。7回には2失策が重なったが、山口、田原誠の継投で抑えた。9回1死一、三塁ではボテボテの一ゴロで三塁走者の立岡が好スタートで生還。互いにカバーし合って、勝負どころで見せたきめ細やかさこそが、強さの象徴だった。

 開幕7戦目で、独走の気配を漂わせた。連勝で2位阪神との差を2・5ゲームに広げた。高橋監督は「まだ、何試合かしかしてない」と意に介さず。連日の熱戦にも「僕は立ってるだけ。選手が頑張ってくれています」とシンプルに奮闘をたたえた。【久保賢吾】

 ▼巨人が14年8月21日ヤクルト戦(11回)22日中日戦(12回)以来の2試合連続延長戦勝利。この日はギャレット、長野、クルーズ2、坂本と、5失策を犯しながらの白星。巨人の1試合5失策以上は10年5月18日日本ハム戦以来だが、前回は1-7で敗戦。5失策以上で勝ったのは59年6月28日中日戦(与那嶺、広岡、藤尾、王、加藤、別所の6失策で5-4で勝利)以来、チーム57年ぶりの珍事。