男気(おとこぎ)エースが、チームメートの通算2000安打の舞台を整えた。広島黒田博樹投手(41)が7回4安打無失点で3勝目を挙げた。序盤から丁寧な投球で、阪神打線を寄せ付けなかった。試合前に披露された新井貴浩内野手(39)の2000安打達成への応援Tシャツも“プロデュース”。自身も日米通算200勝まであと4勝。同僚への気遣いも忘れない男も、快挙へ近づいている。

 熱い男が1度もガッツポーズを作ることはなかった。雨もしとしと降る中、黒田はそれだけ冷静に腕を振った。好調な阪神打線を相手に、丁寧に組み立てる。1点リードの7回には2死二塁のピンチを背負ったが、最後はギアを一気に上げ、今成を右飛に打ち取った。7回4安打無失点。クールに3勝目を挙げた。

 「(調子は)良くはなかったですけど、良い時を追いかけても仕方ない。持っているボールで、勝てる投球をしようと思った」

 淡々と振り返る姿からは、主役の座を譲っているようにも感じさせた。立てるべき相手は1人だけ。ヒーローインタビューでは自身の日米通算200勝まであと4勝と迫ったことを聞かれると真っ先に言った。

 「それは考えていないけど、新井が残り3本なのでね。マツダ(スタジアム)で、みなさんの声援の中で打たせてあげたい」

 共にFA移籍し、15年から復帰。かわいがってきた後輩だ。試合前には小窪選手会長を中心に考えられたサプライズにも一役買った。緒方監督以下、全員が新井の顔が印刷された同じTシャツを着て新井を迎えた。「会長がやったんじゃないですか」とけむに巻いたが、背面の「まさかあのアライさんが…。」の文字を考えた模様だ。この日は別メニューのため着用しなかったが、今日24日には袖を通すことになりそうだ。

 新井は打撃はもちろん、7回の先頭ゴメスの一塁線の打球を好捕するなど守備面でも救ってくれた。「今日の勝敗を分けたプレーといっていい。大きなプレーでした」と感謝。黒田も新井もチームのため、ファンのために汗を流す。「こういうチャンスは一生に1度。これだけのカープファンがいる。ぜひ勝って達成を」。支え合う2人。黒田が舞台を整えた。【池本泰尚】