月間MVP、決まりじゃ~ん!? DeNA石田健大投手(23)が、中日打線を7回4安打1失点に抑え、5勝目を飾った。これで5月は27回を投げてわずか1失点で4勝。エース級の働きを見せる石田の快投で、チームも今季初の4連勝と上昇気流に乗ってきた。

 石田は思いきり腕を振った。「腕を振って投げた直球は、真ん中にいってもファウルになるってことに気がついたんです」。昨年苦しめられた左肩痛も今はない。角度のある直球を軸に、中日打線を真っ向から封じ込めた。連続無失点記録は26回で途切れたが、月間MVP最有力と言っていい、堂々としたマウンドさばきだった。

 4月26日の中日戦(横浜)で、6回に2本の本塁打を浴びて降板した。その後、木塚投手コーチから助言を受けた。「ホームランだとリリーフは助けてあげられない。単打ならば、なんとかなるんだ」。一気に追いつかれてしまっては、継投のタイミングを失う。それを聞いてハッと気がついた。「もっと低めに投げようと思いました」。本塁打を避ける投球を心がけるようになった。あのひと言から5月の快進撃が始まった。

 この日の試合が行われた愛知・豊橋市民球場は、ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」の撮影が行われた球場だ。ドラマでは青島製作所の野球部員たちが8-7の大逆転試合を披露した。「ルーズヴェルト・ゲーム」の語源はフランクリン・ルーズベルト米大統領が「野球は8-7の試合が一番面白い」と言ったことにあるといわれるが、ラミレス監督は「8-7より1-0の方がいい。7点も取られたくない」と、失点を少なく、先に点を取って守りきる「ラミレス・ゲーム」を提唱した。

 それを知ってか知らずか、石田は快投を続けた。「あのドラマ、僕も全部見てました」。両翼93メートル、中堅115メートルの狭い球場で、ドラマで工藤阿須加が演じたエースと同じように、球威で勝負し続け、チームを勝利に導いた。ラミレス監督に「近い将来、必ず首位争いをしてみせます。ウチには12球団NO・1の投手陣がいる」と言わせた。【竹内智信】

 ▼石田が4日ヤクルト戦から4連勝。DeNAで月間4勝以上は14年7月久保(4勝)以来となり、左腕では93年10月に4勝した野村以来、チーム23年ぶりだ。5月のDeNAは13勝目だが、白星の内訳は右腕の5勝に対し、左腕は石田4勝、今永3勝、砂田1勝の合計8勝。今月中に今永もあと1勝すると、球団史上初の月間4勝左腕が2人となる。