情けない、恥ずかしい-。阪神がまたも広島の足攻めに崩された。昨年も痛い目にあった一、三塁からのスチールにまんまとはめられ、ミスも絡んで追加点を献上。守備のほころびも出て、流れを失った。打線も4回の3連打だけ。2点を返してなお無死満塁も逸機した。金本監督も嘆いたが、ずぶぬれの虎党だって…。

 阪神ベンチが凍り付いた。1回。2点を先行され、なお2死一、三塁。7番安部の4球目に、一塁走者の鈴木がスタート。すかさず捕手岡崎が二塁ベースカバーの鳥谷に送球するかに思えた。ところが岡崎がボールを投げたのは二塁ベースから遠く、右後方にいた二塁手大和。鳥谷は捕球できず、三塁走者のルナは悠々と本塁へ-。屈辱的な重盗を決められた。

 このプレーについて試合直後の金本監督は「今、コーチ陣がチェックしてるけど情けないプレー。恥ずかしい」と嘆いた。高代ヘッドは「作戦のことなので言えない」と口を閉ざしたが、苦々しい表情を浮かべた。試合後には野手陣がミーティング。挟殺など一連のプレーについて確認した。その事実が、痛恨のワンプレーであったことを物語っていた。

 大和が二塁ベースに入る。もしくはカットするサインプレーであった可能性もある。だが、いずれにしろ重盗によって失点したことは事実だ。昨季も3度、広島に同じような足攻めを決められていることもあり、キャンプから入念な対策に取り組んできた。それだけに、悔やまれた。

 守備の乱れはこれだけではない。1回、重盗の直前にも鈴木の左前打を捕球した左翼江越のグラブからボールがポロリ。このプレーで一塁走者のルナを三塁まで進塁させて一、三塁の場面を作ってしまった。3回には先頭丸の何でもない打球を、名手大和が捕球できず。その後、丸にはスキを突かれて三盗を許し、松山の犠飛で5点目のホームを踏まれた。藤浪をもり立てるバックが、逆に足を引っ張ってしまった。

 試合開始から雨が降り続いた。イニングの合間には何度も砂が入れられるグラウンドコンディションだった。だが、それは相手チームも同じ条件。守れない、走られる。巨人戦完勝から一夜明け、東京から移動して臨んだ甲子園。涙雨はやまなかった。【桝井聡】

<15年の広島足攻めVTR>

 ◆5月10日 5回2死一、三塁から重盗を決められた。一塁走者は丸、三塁走者は田中。

 ◆9月2日 4回2死一、三塁で、一塁けん制の隙を突かれ三塁走者の新井に本盗を許した。

 ◆同13日 2死一、三塁で、一塁走者のエルドレッドをアウトにする間に、三塁走者菊池を生還させてしまった。