巨人高橋由伸監督(41)がエースに来季開幕戦を託すことを早期決断した。菅野智之投手(27)とすでに意向を確認し、4年連続の開幕投手に内定したことが22日、分かった。来年3月のWBCで日本代表に選出されることが濃厚で調整の難しさはあるが、絶大なる信頼感は不変。3年ぶりのリーグ優勝がかかる出発点の3月31日の中日戦(東京ドーム)で大役に指名する。

 指揮官とエースの“キャッチボール”で来季開幕投手が早くも内定に至った。高橋監督はシーズン後に菅野の意思を確かめた。「菅野本人と話をしたよ。『こだわりがあるのか?』と聞いたら『こだわりがあります。投げたいです』と。分かった、と答えたよ」。17年3月31日、中日戦の開幕投手にエースの名前が刻まれることになった。

 聖域を託すことを、この段階で決められるだけの信頼を置いている。今季は自身最多の183回1/3を投げ抜き、最優秀防御率にも輝いた。一方で打線の援護に恵まれずに9勝で4年連続2ケタ勝利に届かず、DeNAとのクライマックスシリーズは体調不良で登板を回避した。まだまだ改善できる。高橋監督は能力を信じた上で意思を尊重した。「うちのチームで本人の意思を聞いていい選手だと思う。今年、最後に投げられなかったけど、それだけの力が今の投手陣の中ではある」と認めている。

 通常のシーズンより初陣に向けてのピーキングは難しくなる。来年3月からのWBCで侍ジャパンに選出されることが濃厚。同22日(日本時間23日)の米国での決勝まで勝ち進めば、開幕まで中7日しかない。WBC最終戦から中10日あった13年の前回大会も開幕戦に登板したのはソフトバンク摂津だけ。初登板まで日程的余裕を持たせるケースも多い。高橋監督も特殊事情を踏まえ「(WBCから戻り)本人が行けるというなら行かせるよ」と正式決定まで幅は持たせている。

 菅野は無類の開幕男だ。14年の初の開幕投手から球団史上初めて3年連続勝利を飾り、別所、斎藤雅の球団最多となる4勝に1勝と迫っている。かねて、聖域に揺るぎないプライドを示していた。「僕がジャイアンツにいる限り、絶対に譲れないところ。誰にも渡さないと思って、やっていきたい」。高橋巨人2年目の船出はエースが先導する。

 ◆菅野記録メモ 菅野は14~16年に3年連続開幕投手で勝利。巨人の開幕投手で通算4勝なら、別所毅彦(51、53、55、56年)斎藤雅樹(93~96年)に並ぶ球団最多。4年連続勝利なら斎藤雅に並び、初の開幕投手から4年連続勝利はセ・リーグで初めてになる。

 ◆菅野の開幕投手決定日 過去3度の開幕投手が正式に決定したのは14年3月22日、15年3月13日、16年2月28日だった。

 ◆早期の開幕投手指名 01年12月23日、西武伊原監督は「キャンプ、オープン戦次第」も3年連続最多勝の松坂を指名。営業サイドの要望を受け入れた早期指名だった。07年11月8日、日本ハム梨田監督はダルビッシュを別格と位置付けて指名。09年12月、横浜尾花監督は三浦に通達済みを明言も、10年のオープン戦で調子が上がらずランドルフに変更した。11年11月9日、楽天星野監督は田中を指名。岩隈が抜け、6年目で初の栄誉に。13年11月16日、オリックス森脇監督は金子千に通達。巨人では02年1月3日、巨人原監督は「オレの独断ではね」と上原を指名した。