ヤクルトのドラフト1位、寺島成輝投手(18=履正社)が、今年のドラフト1位投手10人の大トリを飾るブルペン投球で“メジャー級”の資質を示した。沖縄・浦添キャンプ第2クール初日の6日、午後1時20分にブルペンに登場。緊張する様子はなく、立ち投げでの30球に大物感を漂わせた。10球を投げたところで、小山田ブルペン捕手に「外、お願いします」とコースも指定。自主的にセットポジションも試した。「7割くらいの力で、しっくり来る球もあった。楽しかったです」。待望の初ブルペンを、笑顔で振り返った。

 異様な雰囲気にも動じない精神力は、ドジャースなどで活躍した元ヤクルトの石井一久氏を思い起こさせた。首脳陣や他球団のスコアラー、報道陣の視線を浴びた。捕手の後方にカメラマンが構えるのは、球団でも異例の対応だった。寺島は「見られていても、あまり何も感じなかった」と涼しい表情で言った。真中監督は「堂々と投げていた。いい意味で、石井一みたいなふてぶてしさがある」と、かつての左腕エースを例に出して感心した。

 小川や同期のライバルが横で投げていても、力感のないフォームは崩れなかった。首脳陣には「3割くらいの力か?」と冗談まじりに声をかけられた。小山田ブルペン捕手は「打者の手元で伸びて、球速表示以上に速く見えるタイプ。和田投手(ソフトバンク)のような感じ」と話した。

 大人の投球スタイルは、小学校時代に確立された。制球を大切にするよう指導を受け「脱力フォーム」で結果を出してきた。「リリースの瞬間に100%の力を出せたらいい。こだわっているのは、ムダな動きをなくすこと」。明日8日には2度目のブルペン入りを予定。強烈なインパクトを残しても、本領発揮はこれからだ。【鹿野雄太】