阪神の新戦力エリック・キャンベル内野手(30)が初スタメン出場で本領を発揮した。3回に左前にクリーンヒットを放ち、来日初安打。7回には低めのカーブをすくい上げ、左前に初タイムリーを記録した。「日本に来て、勝利に貢献したいと思っていた。ああいう風にケガをして、戻って来られないもどかしさがあった。自分の力を出せば、1軍でもやっていけるという思いを持ってやってきた」。安堵(あんど)の表情を見せた。

 キャンプで左手首を痛め、長いリハビリ生活を送った。ストレスのたまる時は、自らキッチンに立った。狩猟を趣味とし、捕獲した鳥をナイフでさばき、調理していた。日本ではさすがに狩猟とはいかないが、スーパーで鶏肉を購入し、フライパンを握った。「とってもおいしいよ。いいリフレッシュになっている」。我慢の日々を乗り越え、スポットライトを浴びた。

 雨天中止になった26日は先発予定ではなかった。原口は打撃不振。打撃練習が始まるまで、この日の5番は空欄だった。キャンベルの振りを見て、金本監督は決断。貴重な追加点を挙げてくれた。「低めのボールを見極めて、しぶとく食らいついて、2安打で上デキだと思う。そんなにホームランを打ってくれなくても、しぶとくチャンスで打ってくれるところを期待している」と称賛した。外野も守れるため、存在感を増せば、大きな戦力になる。1軍昇格3日目で、お立ち台デビューも果たした。「あれだけのファンが待ってくれて、みんなが聞ける中でやったことはない。声援を感じることができて良かった」。遅れてきた新戦力がチームの一員になった。【田口真一郎】