楽天則本昂大投手(26)が、志願の9回完投で13勝目を挙げた。18日のロッテ戦は立ち上がりに2点を献上し、4回までに3失点。8回を投げ終えた後に交代を打診されたが、首を縦に振らずに続投した。敗戦濃厚の0-3の9回裏に、チームは4点を奪って劇的な逆転サヨナラ勝ち。エースの力投に打線が報いてくれた。2位西武も勝ち、3位楽天とのゲーム差は3のまま。

 楽天のエースを、野球の神様は見捨てていなかった。9回に3点差を追いつき、なお1死満塁から銀次の押し出し死球でサヨナラ勝ち。お立ち台で完投勝利となった則本が、心底喜んだ。「最高です。自分の投げた試合でサヨナラ勝ちがなかったので、今日こそはと思っていました」。

 初回。1、2番に連打を浴び、わずか4球で先制を許すなど2失点。「何とか踏ん張って最後まで投げようと思った」。打線が沈黙し、8回127球を投げ終えて0-3。直後に与田投手コーチから、交代を打診された。だが則本は「嫌だ」と断り9回を投げ抜いた。試合前まで、西武菊池に並ぶ両リーグ最多の6完投。100球を超えてもエースの意地があった。梨田監督は「志願ということで、選手に活を入れてくれた。そういうのが劇的なサヨナラになったと思う」とたたえた。

 台風接近のため中止となった、前日17日からのスライド登板。今季は2度を経験し、5月25日のオリックス戦は、日本記録に並ぶ6試合連続2桁奪三振を達成した。7月26日のソフトバンク戦も、プロ入り5年連続の2桁勝利に到達した。調整が難しいといわれるスライドでも、常に結果を出し続けてきた。

 西武もサヨナラ勝ちして、3ゲーム差は変わらなかった。残り18試合。則本の登板は2、3試合が予想される。楽天ファンは、2位浮上でクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの本拠地開催を望んでいる。「ファンの期待に応えたいと思います」。エースは勝ち続ける強い決意を示した。【久野朗】