ラミちゃん継投、神ってるよ! DeNAアレックス・ラミレス監督(43)が、大胆な継投策を講じて、公式戦で14・5ゲーム差をつけられた広島打線を抑え込んだ。先発の石田健大投手(24)が初回に先制を許すと、2回から継投に切り替えた。2年ぶり救援の三嶋を2回、中継ぎ初体験の新人浜口も2回つぎ込み、6回からは4投手で4イニングを任せ、試合の主導権を掌握した。2回以降6人で1失点継投で逃げ切った。前日23日に続く、独創的かつ絶妙な継投を披露。頭脳派監督が本領を発揮した。
歓喜の瞬間は、いつもと同じ最前列で見届けた。三塁側ベンチのラミレス監督は優しい笑みを浮かべ、1年間連れ添った丸山通訳と抱き合った。勝利の喜び、選手への感謝、日本シリーズへの決意。入り交じる感情は、ラミちゃんスマイルに凝縮されていた。「ハートでプレーしたチームワークの勝利。DeNAを代表してでなく、セ・リーグの代表として日本シリーズにいって、そして日本一になるための努力を尽くしたい」。19年ぶりの頂点が見えた。
真っ赤に染まったマツダスタジアム。広島の逆転を信じる声援に包まれても、耳に届いていなかった。ただ冷静に、戦況を見極めた。先発石田が1回3安打2失点の立ち上がりを、ベストじゃないと判断し1回で降板。前夜は初回3失点のウィーランドを6回まで引っ張ったが即決断した。守備は先発要員浜口を3番手に7人継投策で乗り切った。打線は9得点16安打5発で爆発。「シリーズを見てみると投手の頑張りが勝利を呼び込んだ」。自分が比類なきバッターだから分かる。リーグ143試合とCS8試合を投げ抜き打線を支えた投手陣に感謝した。
今シーズン、誰よりも早く「初日」を迎えていた。2月1日、沖縄・宜野湾。まだ薄暗い夜明けとともに目が覚めた。「今年は優勝を狙う」。その決意とともに午前6時前、宿舎のジムで汗を飛び散らせ、ひたすらランニングマシンで走り始めた。気まぐれにバットを握りフリー打撃で左翼スタンドに思いっきり引っ張る。まるで現役時代のように。「ダイエットだよ」とうそぶくが、選手の気持ちを忘れたくなかった。そうじゃないと、采配は振れない。誰からも親しまれ、どの監督よりも選手っぽい。
だから雨が降っても、ずぶぬれになって一緒に戦う。CSファーストS第2戦。世紀の泥んこ試合でもスタイルを貫き、後ろに下がることなく一番前で雨に打たれながら立ち続けた。「いつも選手には言っている。どのようにシーズンを始めるのではなくて、どのように終えるか、と。選手たちは諦めずにやってくれた」。ベンチのホームベース側最前列はラミちゃんの指定席。日本シリーズも、そこで戦う。【栗田成芳】
▼DeNAの登板投手は3戦から7人→6人→7人で、プレーオフ、CSで6人以上の継投で3連勝は初めて。この日の勝利投手は今季0勝の三嶋。プレーオフ、CSでその年の公式戦0勝投手が白星は06年柳瀬(ソフトバンク=2勝)08年小林正(中日)17年宋家豪(楽天=2勝)に次いで4人目(柳瀬と宋家豪は通算0勝)となり、シリーズ出場を決めた試合では初。