中日松坂大輔投手(37)が日刊スポーツのインタビューに応じた。ソフトバンク在籍時の苦しみ、現役続行を決めた経緯、テスト入団した新天地での自信などを存分に語った。3年間貢献できなかった前所属のソフトバンクや、復活を期待する野球ファンへの恩返しも含め、納得いくまで現役生活をまっとうしたい決意を明かした。【取材・構成=柏原誠】

 -北谷キャンプでは楽しそうな表情が印象的

 松坂 すごく言われます。去年も自分の中では順調に投げていたので、楽しくやっていたと思うんですけどね。むしろ去年の(失敗した)経験があるので、不安は今年の方があるかもしれない。

 -昨秋から自宅のあるボストンで右肩のプログラムをこなしてきた

 松坂 ボストンは寒かったが、年が明けてロサンゼルスに行って最初にキャッチボールをしたら明らかによかった。すごくスムーズに肩が動いてくれた。やってきたリハビリは、こうつながったんだと実感があった。

 -自信があった

 松坂 昨秋、リハビリがやっとかみ合い出した。それまでは(肩の不調の)原因が分からないので方向性が見えなかった。結局、痛めてから半年かかってしまった。方向性が分かったら、もう1カ月後の10月下旬にブルペン入り。ここで「来年は投げられる」と思いました。自分がどっちの方向に進むか分かっただけでよかった。ホークスからしたら「遅いよ」ですけど。あと5カ月くらい早ければ…。申し訳なかったです。

 -昨年4月、1軍先発直前に右肩痛が再発

 松坂 気持ちの浮き沈みがかなり激しく、現役を続けようか、あきらめようかと。グラウンドにも行きたくないとか…。ひどい時はシャワー浴びていても痛い。何とか持ちこたえていた。自分が自分自身を信じられなくなったら、そこで終わりと思っていた。いつ折れてもおかしくない、ギリギリだった。

 -初めてのことでは

 松坂 人に見せたくない。同情もされたくないので、無理して笑っていた。自分より苦しんでいる人間はいる。ケガでやめなきゃいけない選手も見てきた。でも自分にはまだ投げさせてもらえるチャンスがある。いつか喜びに変えられる苦しさだと思い込ませていました。

 -今の球に納得は

 松坂 僕は直球に関してはつねに、捕手の後ろに球が突き抜けていくイメージをしている。7割くらいの力で投げた7日はそれが何球かありました。あと何回かで10の力で腕を振っても大丈夫なときが来ると思う。

 -このオフは多くの「松坂世代」が岐路に立った。自分はどうありたいか

 松坂 ボロボロまでやり続けるっていうのはずっと思っている。米国の選手ではその年にタイトル取ったけどやめちゃうとか結構いる。オルティスとか。ムシーナなんて20勝してやめましたから。かっこいいなとは思います。でも僕は子どもたちにまともに投げている姿を見せていない。もう1度見せたいです。

 -松坂世代について

 松坂 この間も子どもを連れたお父さんに「自己紹介の時に『松坂世代の~です』と言っています」と言われて。昔は嫌というか、申し訳ない思いだった。最近はうれしい。ありがたいです。できるだけ長く、それを使ってもらえるようにしたい。期待してくれる人がいる以上、応えたいと思う。