金本阪神が延長12回、4時間23分の激闘の果てにサヨナラ負けを喫した。首位広島と互角に渡り合ったが、あと1死でドロー目前の最終回、守護神ドリスが菊池に痛打された。金本知憲監督(50)も「悔しい試合。力の差が出た」と残念無念。逆転CS進出を目指し、打倒カープに燃えて乗り込んだマツダスタジアムだったが、苦い夜になった。

白球は無情にもダイビングキャッチを試みる右翼俊介の前ではずんだ。延長12回。2死三塁の瀬戸際だ。ドリスが投じた全力の153キロ外角速球を菊池が詰まりながらもはじき返す。4時間23分の熱戦も及ばず、サヨナラ負けを喫した。

悪夢を見た数分後、金本監督が声を絞り出す。「何とも言いようがない、悔しい試合ですよね」。人事を尽くして白星を待ったが、王者広島の底力を思い知らされた。1点リードの8回は1番野間からの攻撃。迷わず必勝リレーに入った。安定感がある藤川でも脅威の打線を防げない。2死一、二塁で松山に内角高め速球を強振される。痛烈なライナーで右翼線に運ばれ、同点にされた。終盤は防戦するのが精いっぱいだった。

3連覇を目指すカープの力量に脱帽し、攻めきれない自軍と比較する。「ストレートをね。球児とかドリスのストレートをパーンとはじき返すわけですから。あと1歩、力の差が出たのかなと思います。真っすぐを打つ力ですかね。その差ですね」。速球をひと振りで仕留められる、充実した赤ヘル打線との違いを痛感。今季の広島戦を勝ち越すためには、残り7戦全勝するしか道はなくなった。

マツダスタジアムでの3連戦を前にした3日、指揮官は「どの球団もあそこでほぼ負け越しているけど何とかうちは、と思っている」と闘争心をあらわにしていた。ナインも全力で挑んだ。今季対戦4試合で2敗していた難敵ジョンソンに打線は奮闘。2回は1死二、三塁でメッセンジャーがたたき付けた一ゴロで先制した。陽川、糸井が二盗を決め、足攻めで助っ人左腕を揺さぶった。最善を尽くして5回119球で降板させるなど、執念も光った。

死力を尽くしたが無念の完敗。金本監督は「球数をたくさん投げさせて5回で降ろした。選手の何とかしようという姿勢が見えています。よくやったと思いますよ。この乗っているチームで、本拠地のマツダでよく耐えた」と話した。

2位ヤクルトと4ゲーム差に広がり、3位巨人とも2・5ゲーム差。クライマックスシリーズ圏内は厳しい状況だが、戦いは続く。金本監督は「明日、そのままぶつけてほしい。今日と同じような気持ちで明日、やってほしい」と言う。「あと1歩」を埋めるため、王者を倒しに行く。【酒井俊作】