これぞヘッドハンティング! 阪神が22日、矢野内閣のスタッフを発表し、清水雅治ヘッドコーチ(54=前楽天外野守備走塁コーチ)が、西宮市内の球団事務所で就任会見を行った。楽天からコーチでの残留要請を受けたが、中日時代に苦楽をともにした新監督の人格に引かれて入閣。星野仙一氏の闘将イズム注入にも意欲的で、今日23日に甲子園で始まる秋季練習で矢野新監督とともに始動する。

話をした瞬間に、清水ヘッドコーチの迷いは消えた。楽天からコーチでの残留要請を受けていたが、矢野監督から直接電話を受けた。「自分でいいんですか? と聞きましたら、好きなようにやってほしいと伝えていただいた」。背番号は81に決定。新監督の参謀役に「つく方の身としてはすごく光栄。支えたい」と思いはひとつ。「責任の重さに、しぼみそうです」と語る表情も柔らかかった。

中日での現役時代は同じマンションの1階、2階に住み、球場入りはいつも一緒。4学年下の矢野監督の車に乗り、必ず室内練習場で打撃練習して球場に向かった。キャンプも同部屋で「いる時間が長かった。話すことが多かったので、気持ちは分かります」ときっぱり。新監督を、コミュニケーション重視で支えていく。

02年の現役引退後は1度もユニホームを脱ぐことなく、日本ハムなど4球団で16年連続コーチを歴任。昨年からは侍ジャパンのコーチも務め、11月の日米野球にも参戦する。初のヘッドコーチではコミュニケーションを最重要視。監督の意向をチームに反映すべく、投手から野手、野手から投手への助言も大歓迎。「準備の幅を広げる。それが出来れば結果がちょっと良くなるんじゃないか」。自身の色を出すつもりもなく「監督を見てください、選手を見てください。生き生きしていたら、僕の価値があるんじゃないでしょうか」と黒子に徹する構えだ。

根底にあるのは闘将イズムだ。星野氏は矢野監督と同様に中日入団時の監督で、楽天でも関係が深かった。「縁を感じますね。すごく感じます。あの熱さとか厳しさは自分の土台になっている。監督も同じだと思う」。その上で「その中にもうひとつ知識とか、やりやすさとかを足して、もっと素晴らしいチームになればいいかなと思う」とプラスアルファを注入する。

やらされる練習ではなく、考えて、のびのび、生き生きとしたチームへ。「誰かをまねるのではなく、自分の清水ヘッドをつくりたいと思います」。矢野監督と一心同体で、再建に取り組む。【池本泰尚】

◆清水雅治(しみず・まさじ)1964年(昭39)7月7日、島根県生まれ。浜田高、三菱自動車川崎を経て88年ドラフト6位で中日入団。96年に西武へ移籍。02年に現役引退し、03~07年西武、08~12年日本ハム、13~17年ロッテのコーチを務め、今季は楽天の1軍外野守備走塁コーチ。現役時代の通算成績は951試合で打率2割4分4厘、13本塁打、111打点。