「犬に追いかけられました。びっくりしたし、本当にこわかったんですけど。とにかく走って、何とか逃げました」

楽天西巻賢二内野手(19)は、何事もなかったかのように振り返る。10月に参加したU23(23歳以下)の日本代表で、コロンビアに遠征した際に事件は起きたという。「買い物に出かけたら、野犬に遭遇したんですよね。本当に危なかった」と武勇伝を築いた。

犬より速い男-。元祖は巨人、日本ハムで活躍し、今季限りで現役引退した大累進内野手(28)だろう。かつて「飼っていた犬より足が速い」と発言し、50メートル5秒7の快速を武器にグラウンドを駆け回った。対して西巻は50メートル6秒1だが「がむしゃらでした。どれくらいの距離かも覚えていないですけど」と異国の地で“2代目”を襲名した。

1年目の今季はそんな足ではなく、入団前から定評があった守備でもなく、バットで魅了した。25試合に出場し、19安打、3打点。本塁打こそ出なかったが、打率2割4分7厘と、高卒ルーキーとしては上々の数字を残した。藤田、茂木、三好と故障者の影響で回ってきた出番ながら、堂々と立ち回った。野犬にも動じない19歳ならば、来季さらに周囲を驚かすことになるだろう。【楽天担当 栗田尚樹】