北の大地に駆けつけた燕党が待つ右翼席へ、打球を届けた。ヤクルト村上宗隆内野手(19)がオープン戦4号となる特大の逆転3ランを放った。

2点を追う8回1死二、三塁、日本ハム藤岡の2球目、内角高めのカーブを右翼席中段まで豪快に飛ばした。先輩から祝福を受けると笑みをこぼし「結果としてホームランになったので、自分の中ではいいスイングができたと思う」。開幕スタメンが濃厚で、高卒2年目で名を連ねるとチームでは64年高山忠克以来55年ぶりの快挙だ。

打席で、宮本ヘッドコーチの声がよみがえった。第1、2打席は三振。6回の第3打席も二ゴロに倒れた。消極的な打撃に、宮本ヘッドは「初球から狙っていけ」。そのひと言で本来のスイングを取り戻し「前の打席でチャンスをつぶしていたので、情けなかった。失点した後だったので、かえしてやろうという気持ちだった」と話した。

4本目にして初めて左投手から本塁打を放ったが「右投手と左投手で全然違うと思いますけど、特に意識していません」。スタンドまで運んだ球種もシンカー、カーブ、直球と対応力も成長した。小川監督は「去年、本塁打を打っているとはいえ今年がプロ野球人生スタートのようなもの。将来ヤクルトの中心打者になりうる選手」と期待。燕のゴジラは「1打席1打席を大切に、思った通りのスイングをしていきたい」と高みを目指す。【保坂恭子】