ソフトバンク高橋礼投手(23)が昨年のリーグ王者・西武を相手にプロ初勝利を挙げ、チームを2年ぶりの開幕3連勝に導いた。6回1失点と好投すると、6回裏に柳田が逆転の決勝2号2ラン。高橋礼に白星が転がり込んだ。今季から先発に挑み、開幕ローテーション入り。2年目のサブマリンがいきなり結果を出した。

  ◇    ◇    ◇

祈るように、ベンチから決着を見守った。抑えの森が最後の打者を打ち取ると、高橋礼の笑みがはじけた。2年目の今季初登板でプロ初勝利。「去年は4回でマウンドを降りたのに、お立ち台に呼ばれて恥ずかしかった。今日は初勝利で立てたので良かった」。4回無失点の昨年10月3日ロッテ戦を引き合いに出し、端正な顔を緩ませた。

188センチの長身サブマリンはこの日最速142キロの直球とカーブ、スライダー、シンカーで翻弄(ほんろう)。山川の体は泳ぎ、秋山のバットは空を切った。強打者がずらりと並ぶ昨季王者の西武打線を相手に、6回をソロ本塁打による1失点で抑えた。

直球で押せるアンダースローだ。「山田久志さんのようになりたい」と偉大な大投手を目標にする。ルーキーだった昨年は12試合に登板。CS、日本シリーズでも起用され。日本一に貢献した。主に中継ぎで、先発はシーズン3試合、CSで1試合あったがいわゆるオープナーの役割。5回を投げたことはなかった。昨秋、今春と日本代表に選出されたが「自分に不満。現実は0勝のピッチャー」と未勝利の現実をかみしめていた。

勝つために、先発ローテーション入りを目指した。「短いイニングなら直球で押せていたけど、先発をするなら、ごまかしはきかない」。投球スタイルも見直した。2月の春季キャンプでは「ブルペンでカーブのストライク率100%」と工藤監督から課題を与えられ、投げ込んだ。紅白戦や練習試合では「苦しい部分はあるけど、あえてやっている」と、自ら考えて変化球主体で投げた。この日は101球のうち半分近い、46球が変化球。昨年は全体の約75%がストレートだった剛腕が変身し、自慢の直球をより生かせるようになった。

勝ちにこだわった高橋礼は「初勝利のためにやってきたわけではない。1つずつ勝ちを積み重ねていきたい」と言った。まだスタートラインに立っただけ。目標はもっと、上にある。【山本大地】

 

◆高橋礼(たかはし・れい)1995年(平7)11月2日、千葉県松戸市生まれ。八ケ崎第二小で「松戸ボーイズ」に所属し、野球を始める。松戸第三中では「流山ボーイズ」。中学3年からアンダースローに転向。専大松戸高では甲子園経験はない。専大では2部だった1年秋のリーグ戦が初登板。17年ドラフト2位でソフトバンク入団。1年目は12試合に登板。0勝1敗、防御率3・00。名前の由来は「礼儀正しい人間になるように」。188センチ、84キロ。右投げ右打ち。