北関東の大学を中心とした関甲新学生野球リーグはこれまで、上武大出身のDeNA井納、平成国際大出身のパドレス2A牧田ら、数多くの個性派選手をプロ野球に輩出してきた。今年も白鴎大に特長あるドラフト候補が4人そろう。中でもペルー国籍のラミレス・レンソ内野手(4年=文星芸大付)は、底知れぬ潜在能力を感じさせる逸材だ。

   ◇   ◇   ◇

白鴎大・ラミレスの真骨頂は5-4-3の併殺処理だ。小さな動きで鋭い二塁送球が放たれる。礎は遠投130メートルの強肩。まるでメジャーリーガーの三塁守備を見るようだ。「あの形が一番しっくりくるんです。打てる三塁手になりたい」と瞳を輝かせる。

打撃フォームもメジャーばりの迫力だ。当たった時の飛距離はすごい。「波が激しいんですよ。いいときは何も考えずに自然といけるんですけどね」。黒宮寿幸監督(48)は「責任感が強い選手。上体が強いこともあって、力むと軸がぶれやすい」と話すも、改善可能とふんでいる。

両親がペルー出身。ラミレスもペルー国籍だが、生まれも育ちも宇都宮だ。祖国はサッカーが盛ん。「サッカーやろうって、何度も思いました。でも野球をやってるうちに大好きになりました」。流ちょうどころか、違和感ゼロの日本語で笑う。実家では100%スペイン語だという。

進路希望はプロ一本。遠い将来、もう1つの夢がある。「いつかペルーで子どもたちに野球を教えたいんです。動画も見せたりして(笑い)。野球の楽しさが広がってほしいなと思います」。純真な野球愛もまた、ラミレスの魅力の1つだ。【金子真仁】

▽白鴎大では左腕・中村伊吹投手(4年=星琳)大下誠一郎外野手(4年=白鴎大足利)金子莉久外野手(4年=国学院栃木)もドラフト候補に挙がる。中村はスライダーのキレ、金子は塁間3秒4の俊足がプロから高評価。大下は大学2年で主将を任された逸話を持つ。黒宮監督も「(阪神)大山の大学時代の10倍の勝負強さ」と、大下に全幅の信頼を寄せている。

◆関甲新学生野球リーグ 93年に連盟発足し、現在は20大学が加盟。3部制。今春1部リーグは上武大(群馬・伊勢崎市)白鴎大(栃木・小山市)山梨学院大(山梨・甲府市)作新学院大(栃木・宇都宮市)新潟医療福祉大(新潟市)平成国際大(埼玉・加須市)の6大学。白鴎大出身の阪神大山、上武大出身のオリックス安達、山梨学院大出身のヤクルト高梨らもリーグ出身のプロ野球選手。