きらやか銀行(山形市)が小島(おじま)康明投手(26=東農大)の粘投で日本製紙石巻(宮城・石巻市)を5-3で下し、2年ぶりの東京ドーム切符に王手をかけた。

中1日での登板で5回に自己最速を5キロ更新する152キロを記録するなど、112球を投げて6回6安打8奪三振の熱投。6回に浴びた本塁打による3失点に抑え、エースの重責を果たした。

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小島が26歳の進化を魂の熱投で証明した。3-0とリードして迎えた5回裏1死満塁のピンチで、ギアが自然と上がった。西藤勇人(28=立大)への初球はボールも、自身初の大台となる152キロを計測。西藤を三邪飛、続く浅沼佑亮(24=東北福祉大)を三振に仕留めると、グラブをたたき雄たけびを上げた。「ほえるタイプじゃないんですけど、自然と出ちゃいました。気持ちが入っていたから球速も出たんですかね」。6回に3ランを浴びるも、すぐに味方が勝ち越し。小島の執念を引き継いだ秋葉真志(24=明星大)、市毛孝宗(24=星槎道都大)のリリーフ陣が後続を抑えた。

エースとして3年前にチームを都市対抗初出場に導き、翌年も連続出場。入社時からプロ入りを熱望しながら、この2年間は指名を見送られた。昨年11、12月のアジアウインターリーグ(台湾)に社会人選抜の一員として参加。韓国戦では9者連続を含む17奪三振の快投を演じた。「今年がラストチャンスという気持ちでいる。やれる自信もあります」。

オフにはウエートトレーニングのメニューを変え、肉体改造を目指してきた。これまでは重さにこだわっていたが、肩や下半身の可動域を広げることを意識。「今まではチェンジアップとかで抑えるパターンだったけど、真っすぐで押せるようになってきた」と効果を実感できるようになった。2本塁打の4番建部翔太(28=八戸学院大、写真は東北題字)も「エースであり続けて、毎年毎年進化しているのがすごい」と力を認める。

昨年は代表を逃すも、自身はトヨタ自動車東日本(岩手・金ケ崎町)の補強選手として3年連続出場を果たした。「やっぱり自分のチームで行きたいですよ。自分もさらに成長して」。プロへのアピールのためにも、表舞台に立たないわけにはいかない。第1代表決定戦に向けては「投げる機会があれば全力でいくだけ」と、連投も辞さない構えで闘志を燃やした。【野上伸悟】