敵地で幕を開けた首位ソフトバンクとの3連戦は、日本ハムが5-1で先勝した。

1回、地元福岡出身の田中賢介内野手(38)が走者一掃の2点三塁打を放つなど、5長短打を集めて、苦手にしていた大竹耕太郎投手(24)を攻略。田中賢は今季2度目の3安打猛打賞でソフトバンク戦の連敗を6で止めた。後半戦白星スタートで、逆転優勝した16年のミラクル再現へ弾みを付けた。

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生まれ育った福岡で、スタンドから飛ぶ声援に笑顔で手を振った。敵地でヒーローインタビューのマイクを向けられた日本ハム田中賢は、照れくさそうに言葉を紡いだ。「高校生まで福岡で育ちましたので、両親の前でしっかり結果を残せて良かったです」。現役ラストイヤー。応援に駆けつけた家族の前で今季2度目の3安打猛打賞を記録し、これ以上ない恩返しとなった。

約1カ月ぶりにスタメンに名を連ねた38歳は、ベンチの期待を裏切らなかった。近藤の左前適時打などで2点を先行して迎えた、1回の第1打席。1死一、二塁から、ソフトバンク大竹の初球、外寄り135キロ直球を流し打った。左翼手が打球処理に手間取る間に、一気に三塁へ。爆笑に包まれた味方ベンチに「僕の足が動いてなさすぎて、みんな笑っていたんだと思います」。チームが苦手にしていた相手左腕に、初対決で先制パンチを浴びせた。「どうやったら(打線が)つながるのかというところで、賢介がうまくつないでくれた」と、栗山監督も感謝しきりだ。

これで、首位ソフトバンクとのゲーム差は6に縮まった。2位から逆転優勝した16年も、後半戦初戦を白星で飾っている。当時も前半戦終了時点で、首位ソフトバンクとのゲーム差は6もあった。背中はまだまだ遠いが、決して追いつけない距離ではないことを、多くの選手が経験済みだ。ミラクルを演じた3年前と重ね「すごく雰囲気がいい。ソフトバンクは強いですけど(逆転優勝のためには)この3連戦3連勝が、まずは一つのハードルになる。明日、明後日の試合も取れるように頑張っていきたい」と田中賢。奇跡の再現で、現役生活の花道を飾れるか。運命の後半戦が、始まった。【中島宙恵】