夏休み中の子どもたちに夢を与えた。楽天美馬学投手(32)が6回5安打1失点(自責0)の好投で辛島と並ぶチームトップ7勝目を挙げた。

制球に苦しむ場面もあったが最少失点で粘り、大事なカード初戦の白星を死守。身長169センチの小さな体で並み居る強打者を封じ込め、イーグルスをけん引する。

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観戦に来ている夏休み中の子どもたちから羨望(せんぼう)のまなざしを集めるお立ち台で、美馬が声を張った。「僕でもプロで(投手として)できている。(身長が低くても)プロは目指せます。僕も頑張ります!」とエールを送り、自らも奮起を誓った。

熱いメッセージの裏には、反骨心が支えとなった野球人生がある。「『その身長ではプロになれない』。ずっと、そう言われてきました。投手として、伸びしろがないって思われるんでしょうね。だったらもっと速い球を投げてやる、もっと変化球を磨いてやると思ってやってきた。それ(反骨心)は、メチャクチャありますよ」。マウンドに立ちたい、エースになりたい-。夢を抱く野球少年たちに背中で語る。「そこ(身長)を理由に(投手を)諦めてほしくない。僕の姿が、何人かでも、響いているのであれば、うれしいですよね」とほほ笑んだ。

秘めた思いも力にして、粘り強くリードを守った。制球に苦しみながら、連打は許さない。「途中から割り切れたのがよかった」。1点を失った5回は2死満塁でロッテの4番レアードを迎え、3ボールと土俵際まで追い込まれた。「マジ、ビビリました」と苦笑交じりに振り返ったが、腹をくくって三飛に打ち取り、最大のピンチを切り抜けた。

7月は規定投球回以上ではリーグトップとなる防御率1・64をマーク。「『月』が変わって『ツキ』が変わるのかなと、そこはちょっとだけ意識していた。これだけ援護をもらえて、いい流れできていると思う」。8月最初のマウンドで幸先よく白星をつかみ、頼もしくチームを引っ張っていく。【亀山泰宏】