日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が4番の責務を果たした。楽天19回戦(札幌ドーム)の初回に決勝犠飛を放ち、チームの連敗を9で止めた。13日ロッテ戦から4番に座り、4試合目での初打点を起点に、8月は1試合4得点が最高だった打線も一気に6得点を奪って快勝。チームは4位に再浮上し、クライマックスシリーズ圏内の3位楽天に1差に迫った。

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清宮は勝てた喜びをかみしめながら、お立ち台へ向かった。大歓声を送ってくれた超満員の4万1138人へ向けて、率直な思いを打ち明けた。「勝った瞬間は、すごくホッとしました。1つ勝つのが、こんなに難しいんだと思いました」。4番を任されて4試合目で、チームが初めて勝った。「やはり、4番が打たなければ負けると、あらためて感じました」。言葉に力がこもった。

初回1死一、三塁のチャンスで打席が回った。楽天菅原の直球を空振り、ファウル。2球で追い込まれた。「打てなかったら、どうしようという感じもありましたけど、それでも攻めるという気持ちが結果につながったと思います」。3球目のスライダーはストライクゾーンに来た。弱気を封じ込み、勇気を持ってスイングした結果が先制犠飛。記念すべき4番初打点が、決勝点となった。

安打は出なくても、貴重な打点がチームの勝利につながった。4番という打順は「やることは変わらないけど、責任は重い」。13日ロッテ戦から4番で起用された4試合16打席で得点圏に走者を置いた打席は7度。2打席に1度はチャンスが巡ってくる。12日までは140打席で40度と4打席に1度ほどだった。4番が打って打点を挙げれば勝つ可能性が高まることを、身をもって実感した。プレッシャーも感じるはずだが「やりがいのあるポジションだと、あらためて思う」と自らを奮い立たせる。

5回と7回の好機には1本が出なかった。「まだまだです」と反省したが、清宮が挙げた先制点を皮切りに、8月に入って低迷していた打線も6得点と久しぶりに活気づいた。中田の故障離脱で4番の代役に指名した栗山監督も「前に進もうという感じはある」とうなずいた。清宮も「自然にやれば自然に結果は付いてくる」と重責を全うする覚悟も十分。「こうやって勝ったことで1つきっかけになって、ここから追い上げられれば」。20歳の4番が反撃ののろしを上げた。【木下大輔】