右手痛から戦列復帰した日本ハム中田翔内野手(30)が、いきなり“4番の仕事”をやってみせた。25日オリックス戦(京セラドーム大阪)で、13日ぶりに定位置の4番にスタメン復帰。天井に消えた認定二塁打を含む5打数3安打2打点の活躍で、球団歴代3位の通算820打点をマークした。チームは約1カ月ぶりの2連勝でカード勝ち越し。主役が戻って、ここから巻き返す。

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さすがは、エンターテイナーだ。右手母指球部挫傷から急きょ1軍復帰した日本ハム中田が、さっそく主役をかっさらった。3回の第2打席で左前打すると、2-0の5回には、2死一、二塁から左中間へ追加点の2点二塁打を放ち、右手でガッツポーズ。「気持ちのいいスイングをしようと思った。不安でしたけど、2軍で頑張ってきたかいがあったと思います」と、白い歯を見せた。

通算820打点。大杉勝男を抜き一気に球団歴代3位に躍り出ると、7回1死一塁では、左翼方向へ豪快に打ち上げた打球が…あれ? 落ちてこない。ドームの天井に吸い込まれて消えた打球は、特別ルールで認定二塁打に。12年の球宴で既に経験済みで、本人は悠然と二塁で止まったが、ベンチのチームメートは騒然。笑いながら天井を見上げる選手が続出した。3安打2打点で、今季5度目の猛打賞。栗山監督は「さすがだね。打ち方、技術も素晴らしい」と、戻ってきた4番に最敬礼だ。

故障した中田に代わり、13日からは20歳の清宮が4番に座った。2軍生活の中、毎日、清宮の成績とコメントをスマホの速報サイトでチェック。「自分のプレーに責任を感じていたでしょ。まだ、考える必要ない。早いよ」と思いやり「あんな、ちょこちょこ打って欲しくない。どんどん振りまわして欲しい。何回も本人には言っているけど、響いていないみたい」。4番の後継者として才能を認めているからこそ、突然の4番抜てきで苦しむ後輩の姿が見ていられなかった。

「あいつにプレッシャーをかけてしまって、申し訳ない。今日からは、伸び伸びとやって欲しいね」。試合後はチームバスの出発に遅れそうになり、閉じたバスの扉を大慌てでノックして乗り込んだ背番号6。「上とのゲーム差はほとんどないので、ここから巻き返していけたら」。笑いもしっかり提供し、頼もしい言葉で逆襲を誓った。【中島宙恵】