昼も夜もマサ塾開講! 阪神が今秋の高知・安芸キャンプで中日OBの山本昌氏(54=野球解説者)を臨時コーチに招へいすることが14日、分かった。

現役時代に219勝を挙げ、プロ野球史上最年長の50歳登板を果たすなど、唯一無二の経験を持つレジェンドに対して宿舎での講義も要請した。同氏は今季0勝に終わった藤浪の復活プランを温めていると明かした。

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今季の生命線だった投手陣を強化すべく、矢野阪神が山本昌氏を今秋のキャンプに臨時コーチとして招く。この日、名古屋市内でテレビ出演を終えた同氏は「僕も聞かれたことで、野球の投げることに関しては答えられないことはないと思う。そこは何でも聞いていただいて結構。大いに活用していただきたい」と若虎に呼びかけた。11月はレベルアップを図る若手にとって貴重な時間。球界屈指の「野球博士」は早くも通算219勝の腕をまくった。

レジェンドトークは昼夜を問わずに実施される。「(球団から)頼まれたのがミーティングで講義をしてくれということ。それはしっかり、自分が前に立って若い選手に伝えたい。技術的なことはグラウンドで。考え方であったり、精神的な面は講義で」。マウンドではメカニック、宿舎の会議室ではメンタルと、場所を変えてテーマを変えて貴重な時間が続く。

虎党をヤキモキさせた藤浪の復活にも乗り気だ。19年はチーム防御率3・46が12球団トップを誇るなどレギュラーシーズン3位滑り込みの原動力になった。その一方、先発陣の柱として期待された藤浪はプロ7年目で初めて0勝に終わった。17年以降は3勝、5勝と停滞する。山本昌氏は「藤浪復活プラン」も思い描いている様子だ。

「迷いっていうところはすごく感じる。彼と話す機会があれば僕の考えなんかも伝えて、試すといってくれたら一緒に試したり。そういうのも、一応頭の中にはあります。僕が今感じていることはお伝えできればという風に思います」。頭ごなしに考えを押しつけることはないが、無数の引き出しから解決策を探る準備はすでに始めている。

矢野監督は3歳年上の山本昌氏と中日時代にともにプレー。今も親交は深く、野球観を共有している。今年1月に矢野監督は「やれば、生き残っていける。うまいヤツが残るわけではない。山本昌さんはそんなに球が速くなくて。だから、やり方とか考え方で変われるところ」と話していた。実働29年はプロ野球最長。若手にとって教材として理想の存在だ。【桝井聡】

◆山本昌(やまもと・まさ=本名・山本昌広)1965年(昭40)8月11日、神奈川県生まれ。日大藤沢から83年ドラフト5位で中日入団。最多勝3度(93、94、97年)最優秀防御率1度(93年)最多奪三振1度(97年)ベストナイン2度(94、97年)。94年は沢村賞を獲得。41歳の06年にノーヒットノーラン。15年10月7日広島戦で史上初となる50歳登板を達成。同年現役を引退した。通算成績は581試合、219勝165敗、防御率3・45。現役時代は186センチ、87キロ。左打ち左投げ。