侍ジャパンに暗雲が漂った。リードオフマンの秋山翔吾外野手(31)が、右足つま先付近に死球を受け、骨折の可能性が出てきた。途中交代し、試合中に那覇市内の病院へ直行し、検査を受けた。最悪の骨折となった場合、離脱する可能性が高く、プレミア12に臨む日本にとって大きな痛手となる。すでに海外フリーエージェント(FA)権行使を宣言しており、メジャー挑戦にも影響しかねない事態となった。

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秋山の内角低めを突こうとした134キロのカーブが、無情にも右足めがけて飛んできた。3回1死で迎えた第2打席。2球見送りカウント1-1で迎えた3球目だった。ステップした右足をよけようとしたが、つま先付近に直撃。痛がりながらも一塁へ進んだ。次打者菊池涼の二ゴロの際は、二塁めがけてダッシュ。封殺となりベンチに下がると、4回表の守備についた。しかし、5回表、中堅に秋山の姿はなかった。

6点ビハインドから反撃を仕掛けた試合中、病院へ直行した。試合後に稲葉監督は「今、病院にいったので、まだ何も聞いてません」とだけ話し、ロッカールームでは30分以上、首脳陣による緊急ミーティングが行われた。検査の結果、骨折の可能性も浮上し、チーム離脱を余儀なくされるかもしれない。

国際大会での豊富な経験を落とし込むため、準備してきた。前回大会15年プレミア12、17年WBC出場。秋山は「できるだけ後ろ(の打者)に情報を持っていけるようにしたい。後ろの打者が勇気を持って振りにいけるようにしないと、数字は上がっていかない」。先頭の第1打席はカウント2-2から果敢にスイング。大きくバウンドした打球は遊撃の好守に阻まれた。国際大会は初見の投手の攻略が必須で「だから見る打席はないと思う。探っている間に投手が代わる。無駄なアウトは避けたい」と姿勢を見せていた。

10月29日に海外FA権行使を表明していた。メジャー挑戦を宣言。プレミア12でも「打って評価が上がる、打てなくて評価下がるのも自分の実力。この大会に出ないで、シーズンの成績だけでとってもらえるかも分からない」とメジャーへのアピールをするはずだったが、思わぬ緊急事態。世界一を目指す日本にとっても、リードオフマンの離脱となれば、痛恨の極みになる。