早慶戦を落とした悔しさは、日本一になって晴らす。既に優勝を決めている慶大は、1勝1敗で迎えた早大3回戦でサヨナラ負け。勝ち点5の完全優勝は逃した。

4番で主将の中日ドラフト4位、郡司裕也捕手(4年=仙台育英)は打撃3部門(打率、本塁打、打点)でトップに輝いた。明治神宮大会(15日開幕)での優勝を、今季限りで退任する大久保秀昭監督(50)に贈る決意だ。

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優勝したのに、慶大ベンチではおえつが漏れた。3-3の9回2死二、三塁。早大・金子の打球が右前へ抜けた。郡司は「早慶戦の難しさを改めて実感しました。完全優勝で終わりたかったけど、また勝ち点4。力不足を感じてます」と悔しがった。1年秋から7季連続勝ち点4。いつも、あと1点が足りなかった。

自身は、最後の秋で最高の結果を残した。3冠王は戦後14人目、慶大では96年春の高橋由伸(前巨人監督)以来だ。この日も初回1死一、二塁で今西の直球を中前へ運ぶ先制打。打点を上乗せし、ベストナインにも選ばれた。「(3冠王は)全然、狙ってなかったですが、練習してきたかいはありました」。今季はリーグトップの16四死球で、三振は、わずか3。「ストライクを振ってボール球を振らない。高打率(3割9分4厘)につながりました」と分析した。

ただ、やはり完全優勝を逃した悔いが残る。前日、大久保監督から退任を伝えられた際「俺のために早慶戦をやらなくていい」と言われた。郡司は「監督のために戦うのは日本一を取る時」と強調した。開幕前から「日本一の監督にする」と言ってきた。思いを実らせる。【古川真弥】

▽慶大・柳町達外野手(ソフトバンク5位指名選手は歴代13位の通算113安打で終了)「優勝で終われたのはよかった。プロは厳しい世界。1軍に入り込めるよう、初心にかえって努力していきたい」