「令和の牛若丸」襲名だ。日本ハムのドラフト3位、京都国際・上野響平内野手(18)が13日、同校で契約金3500万円、年俸530万円で仮契約を結んだ。

高校生遊撃手NO・1の呼び声高い逸材が目指すのは、京都出身の名遊撃手で「今牛若丸」と呼ばれた吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)のようなファンを魅了する守備。新時代を代表するショートストップへ駆け上がる。(金額は推定)

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高校最後の夏を迎える直前だった。ドラフト候補だった上野は「牛若丸」と呼ばれ始めた。「どういう意味か、最近まで分からなかったです」と苦笑いするが、今では理解する。京都出身のプロ野球界のレジェンド、吉田義男氏の愛称だったこと。華麗で堅実な守備の名手を指し示すということ。「守備でお客さんを呼べる選手になりたい」という18歳にとって最上級の異名であること。「令和の牛若丸」となる素養十分の逸材は「呼ばれたらうれしい」と思いをはせた。

守備へのこだわりは人一倍だ。グラブは誰のまねもしていない。「芯(ポケット部分)がしっかりしているものが好き」など細部にわたって自らオーダー。世界に1つだけの「上野モデル」を愛用してきた。プレーで心がけるのは「ゴロは捕らない。当てて捕る。ゴロはつかまないイメージ。それが自分の感覚です」。見てほしいポイントは「アウトにするまでの入りだったり、確実で速いプレーがこだわりなので、そこです」。プロ入りに向けて、こだわりを体現するためのニューグラブも発注予定だ。

順調にプロ生活を過ごせば、4年目には北広島市に新球場が開場する予定だ。「温泉もあって、お客さんも増えそう。実現できるようにしたい」とチームの節目にレギュラー奪取という青写真を描く。そのためには「打撃を良くすることが大事」と自信のある守備に見合う打撃力向上も誓う。高校通算11本塁打だが、すべて今年6月以降に放つなど発展途上中。現在は木製バットでの打ち込み、そして守備練習も継続中だ。「球界を代表するショートになりたい」。さっそうとグラウンドを飛び回る姿が、待ち遠しい。【木下大輔】

◆上野響平(うえの・きょうへい)2001年(平13)4月26日、大阪府貝塚市生まれ。貝塚スポーツ少年団西地区から貝塚シニア。京都国際では入学直後からレギュラー。今夏の京都大会は「1番遊撃」で活躍し準優勝。甲子園出場なし。172センチ、68キロ。右投げ右打ち。