ライトへレフトへホームラン♪ 阪神新外国人の4番候補ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が28日、甲子園で初の全体練習に参加し、フリー打撃で怪力を披露した。

46振で柵越え7発。バックスクリーン方向に4本たたき込んだほか、右翼と左翼へも放り込んだ。広角に打ち分けた姿は「神様仏様」とたたえられた最強助っ人バースそっくり。今日29日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)で、いよいよ特大1号の予感だ。

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広い甲子園が狭く映る。「大砲」の金看板そのままだった。沖縄・宜野座と変わらない大飛球。バックスクリーンに激突させた直後の35スイング目だ。今度は左翼ポール際へ、軽々とオーバーフェンス。「ライトへレフトへホームラン♪」。85年日本一の3冠王、バースの応援歌を口ずさみたくなるような広角アーチを披露した。

ド迫力の本拠地初フリー打撃だった。右に引っ張って2本の柵越え。バックスクリーン方面に4発。最長不倒140メートル弾をライナーで中堅右のカメラマン席に突き刺した。衝撃の弾道だろう。先に打ち終わった糸井が思わず叫んだという。「スリーミリオン!」。昨季は甲子園のセ・リーグ公式戦でバックスクリーン弾を放った阪神選手に300万円の褒賞金があった。今季の実施は未定だが、周囲をざわつかせるほど、スケール感は十分だ。

だが、ボーア本人はどこ吹く風だ。初体験の聖地で着々と戦うための準備を整えた。「『広い』と言われていた。風も考えてイメージしたよ。センターから逆方向に。センター方向に伸びる感じ。いいスイングをしたらセンター方向に伸びると思うね。いい感じで打てた」。この日は名物浜風が吹かず、ほぼ無風だったが中堅方向への強い打球が目立った。新天地の「地の利」を探り、冷静に打撃スタイルを見定めていた。

昨季まで大リーグで戦っており、甲子園のように黒土の内野はない。不慣れな環境だが、一塁守備で13度のゴロ捕球。1度だけバウンドを合わせ損ねたが、逆シングルで捕るなど、軽やかに動いた。「ゴロもイレギュラーしない。いいグラウンドだと思ったよ」と好感触を口にした。

午前10時前、グラウンドに足を踏み入れ、濃緑の芝生が視界に飛び込むと、心を躍らせた。「外に出た瞬間『いい球場だな! 最高だ!』とね。見渡しても気持ちがいい球場だと思ったよ」。半袖でも、まるで寒さを感じない。心は熱く燃えていた。今日29日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)は3打席立つ予定で、本番に向けて調整は本格化する。「目の前のことに集中したい」。まだ来日ノーアーチだが、いよいよの予感が漂う。【酒井俊作】

▽阪神井上打撃コーチ(ボーアについて)「甲子園で初めての打撃で、力を入れて振っていた。サンズも振っていたし、ああいう姿を見て安心できた」

◆バースの阪神1号 83年に来日したバースは、チームのオープン戦初戦、3月6日大洋(現DeNA)戦(静岡)の4回に広瀬新太郎から右翼へ来日初本塁打。9回には増本宏から右へ2号と、上々のデビューを飾った。公式戦1号は5月8日のヤクルト戦(神宮)で6回に梶間健一から。開幕19試合目だった。

◆300万円弾 甲子園では昨季「イワタニ バックスクリーンホームラン賞」が制定された。セ・リーグ公式戦でバックスクリーン本塁打を放った阪神選手に、岩谷産業から300万円が贈られた。7月23日のDeNA戦でマルテが初受賞。9月12日のヤクルト戦で大山、同24日の巨人戦では福留が運び、合計3人が300万円をゲットした。

○…ボーアには前人未到の「CoCoPARK弾」の期待もかかる。外野2階のバックスクリーン下にある特設スペースCoCoPARKは、15年に開設された飲食スペース。ここにアーチを打ち込めば、着弾時までの来店者の飲食が無料になる企画(レシートは必要)が今年も継続される。球場担当者は「どんどん打ってもらってボーア選手のメニューも作りたい」と話した。ただし開場から5年たつが、歴代大砲も難攻不落。「試合では1回も入ってません」と担当者。150メートルを要する難所だが、ファンに大盤振る舞いしたいところだ。

<ソフトバンク戦・阪神予想オーダー>

1番 木浪(遊)

2番 近本(中)

3番 福留(指)

4番 ボーア(一)

5番 サンズ(左)

6番 大山(三)

7番 糸原(二)

8番 梅野(捕)

9番 高山(右)

先発投手 西勇