巨人育成3年目右腕の山上信吾投手(20)が8日、内野手登録に変更されることが発表された。常磐(群馬)から17年育成2位で入団した最速152キロを誇る本格派右腕が、第2のプロ野球人生をスタートさせた。

勝負をかけた1年だった。昨オフ、フォーム改造に着手した。制球力アップを求め、通常の上手投げからヤクルト五十嵐のような担ぎ投げに変更した。「少しずつ良くなってきました」と手応えをつかみつつあったが一方で、今季ここまでイースタン・リーグ公式戦での登板はなかった。

フィールディングの良さと強肩を生かし内野手として再起を図る。高校では1年秋から遊撃手としてベンチ入りするなど元々は内野手だった。2年時に本格的に投手を始めてからは、投手以外での出場は外野。約4年半ぶりの内野守備に取り組んでいる。

この日は3軍戦中止後にジャイアンツ球場で個別練習に励んだ。久々の感覚を確かめるように、藤村3軍内野守備走塁コーチとともに遊撃と二塁の守備練習を行い、捕球体勢までの足の使い方を重点的に指導された。スローイングはさすが元投手で、矢のような安定した送球を投じ続けた。

球団で投手から野手への転向は、04年の十川雄二氏以来となる。過去を振り返れば、ともに後に2000安打を放った川上哲治氏や柴田勲氏なども例もある。山上は以前、常磐・河津監督への感謝を口にしていた。「自分の才能を評価して指導してくださり、プロの世界に入れるまでに成長させてくれた。そんな監督にも野球で恩返しがしたい」。恩師への思いを胸に、二十歳の青年が新たな挑戦に挑んでいる。【久永壮真】

 

◆山上信吾(やまかみ・しんご)1999年(平11)9月21日生まれ、群馬・太田市出身。小1から野球を始め、綿打中では軟式野球部に所属した。常磐(群馬)から17年育成ドラフト2位で巨人に入団。19年にはイースタン・リーグ公式戦に1試合登板し、1回2失点だった。183センチ、86キロ。右投げ右打ち。