プロ野球の有観客試合初日の10日、関東で唯一観戦できる球場となった千葉市のZOZOマリンでは野球に飢えていた喜びと、新型コロナウイルスへの感染を懸念する声が渦巻いた。

鳴り物、大声、応援ソングの合唱など禁止事項が多いが、感染予防を徹底しながら球場へ向かう千葉ロッテと埼玉西武のファンらは「帰ってきたぞ」「なんか、人がいっぱい。すごい」と歓喜と戸惑いを交錯させた。

木更津市の石井克弥さん(23)と小川成実さん(39)は「正直、来るかどうか迷った」と真剣な表情。「ただ、球団スタッフが安全面をいろいろと考えてくれたので、今日は飛ばずに叫ばずにおとなしく応援します」とタオルマフラーを握りしめた。

球場からバスで約20分の所に住む古橋玲子さん(64)と娘ももさん(32)親子は、試合開始3時間前の午後3時、自家用車で駐車場に乗り付けた。「バスはないですね。絶対にぎゅーぎゅーだから」と、ももさんは公共交通機関の混雑による3密を懸念。「歩いても来られるけど車が安心です。消毒液とフェースシールドは持参してきました」と玲子さんもやや不安そうな表情で話した。

球場スタッフとして働く丸山涼音(すずね)さん(19)は「本当に久しぶりの球場なので、お客さんのいることが不思議な感じです。マニュアルも昨年と違うから慌てないようにしたい」と駆け足で球場内に消えていった。

一方で、この日のチケットを持っていないファンの姿も見られた。習志野市在住の男性は「東京でまだ感染者も増えているから、今月の観戦は自粛しようと思いました。ファンクラブの入会手続きだけして帰ります」と、試合が始まる前に人波を避けるように球場を後にした。【寺沢卓】