山賊打線の4番がもがいている。2年連続本塁打王の西武山川穂高内野手(28)は、74試合終わって21本塁打で、ランクは4位。「圧倒するつもりだったんですけどね。半分以上終わって、自分が一番、自分に対してむかついていますね。『こんなにもできないのか』という」。3年連続キングの可能性は十分に残されている。でも思い描いたイメージとは、少し違ったシーズンを過ごしている。

3冠王を念頭に、波乱のシーズン入り。打撃フォームは、大きく踏み込んでいた左足を小さくシンプルにし、確実性アップを試みた。昨季本塁打1位、打点2位に加え、22位だった打率2割5分6厘が向上すれば、自然と見えてくるトリプルクラウン。しかし「なかなか去年もあんまりよくなく、一昨年からホームラン王取ってきて、うまくいかないもんだなと」。打率は2割2分5厘にとどまっている。

塁上別の打撃内容を見ると、走者なしが打率1割6分7厘、8本塁打。一方で得点圏では3割3分8厘、9本塁打と跳ね上がる。

チーム打撃への強い意識が数字に直結している。「なかなか自分の状態が万全でなく、それでも試合に出て、仕事として何かしないといけないと意識しているので。状況次第ではああいう軽打だったり、犠飛だったりとかは意識しています」。チームへの貢献にフォーカスし、勝利をたぐり寄せるスイングに徹する。

ライバルたちも必死だ。厳しく内角を突かれれば、死球は増える。昨季13個だったが、今季すでに12個。明らかに攻め方は厳しくなっている。「理想とは明らかにかけ離れているんですけど。まだ半分近くあるので巻き返せるとも思っています。(本塁打王争いも)ひっくり返せると思っています」。首位ソフトバンクと8・5ゲーム差。残り46試合。大逆転Vは、この男にかかっている。(数字は16日現在)【栗田成芳】