今季限りで現役を引退する阪神藤川球児投手(40)が、今季東京ドーム最終戦で、東京のファンに別れを告げた。試合後に藤川の登場曲、リンドバーグの「every little thing every precious thing」が流れる中、駆け足で左翼席方向へ向かい、ファンに手を振りながら歩いた。巨人ファンのいる一塁側と右翼側へも一礼。「粋な計らいというか、感謝をしなきゃいけない。ずっと巨人の選手を見て、あこがれて野球をやってきた部分もある。最後まさかこうして敵チームで、というのは思わなかったんで。子供の時に戻りました」。3連戦の登板機会はなかったが、穏やかな笑顔を浮かべた。

試合前練習時にも、登場曲が流れるサプライズ。登板すれば登場曲を流すように、敵将の原監督からも“サプライズプレゼント”の用意があったという。「原監督ともWBCでも一緒にやりましたし、アメリカ行く時も言葉をいただいて、色紙を書いていただいたりして。まさか自分がそういうふうにしてもらえるというのは思ってもみなかったんで、非常に感謝しています」。引退試合は11月10日、甲子園での巨人戦。「プロ野球の舞台でお恥ずかしい姿を見せることのないように」。決意新たに最後まで戦い抜く。【磯綾乃】