レジェンドに続け! 目指すは1番遊撃! 阪神小幡竜平内野手(20)が11月30日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、380万円増の年俸1100万円でサインした。今季は球団高卒2年目以内の選手では75年掛布以来のシーズン20安打を記録するなど、来季の遊撃レギュラー候補に浮上。新戦力の加入でポジション争いはさらに激しくなるが、遊撃にこだわり、開幕スタメンを目標に掲げた。(金額は推定)

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ストライプのスーツに身を包んだ小幡は、緊張も解けないまま会見場にやってきた。「来るまでも、ものすごく緊張していました。思ったよりも、上げていただきました」。高卒2年目はコロナ禍で始まった異例のシーズン。来季の飛躍を感じさせる内容が評価され、380万円アップを勝ち取った。

今季は8月下旬に1軍デビューし、阪神では25年ぶりとなる10代野手の打点を記録。9月下旬にはチーム内で複数の感染者を出す非常事態が発生。そこで結果を残し、遊撃のレギュラー候補に浮上した。今季は出場54試合のうち、遊撃26試合、二塁11試合の計37試合で先発起用。「自分としてはそういったチャンスの中で勝ち取れなかったっていうのが一番悔しかった」。口を突いたのは満足感よりも悔しさ。目標はもっと先にある。

フェニックスリーグでは、人生初の一塁守備も経験。「相手のことをより考えられる時間になった」と学びは多かったが、こだわるのは遊撃の定位置だ。「自分の将来像としては『1番ショート』を目標にして、頑張っていきたい」。猛虎では1番遊撃に吉田義男氏ら名手が名を連ねた。今年はドラフト6位で三菱自動車岡崎・中野、巨人から金銭トレードで山本が移籍。ライバルも増えるが、開幕スタメンへ勝負を譲るつもりはない。「毎年競争なので、そこは絶対負けないように。(開幕から)レギュラー争いに食い込んでいけるように」。オフは下半身強化に取り組み、持ち味の守備力に磨きをかける。

刺激になる存在もいる。日本シリーズに登板した巨人戸郷は、高校時代に宮崎選抜でチームメート。「やっぱり戸郷の登板はしっかり見てました。自分も本当に頑張らないといけないなと思わされました」。今季は5打席の対戦で2安打1打点。来季もスタメンとなれば対戦機会は自然と増えるはず。「戸郷と(対戦)するとなると、注目はされると思うので、負けたくないですね」。チーム内の争いを勝ち抜き、良きライバルにも打ち勝つ。【磯綾乃】

◆阪神の遊撃争い 今季84試合に先発出場した木浪が本命だ。失策数を19年の15個から8個まで減らした。今季1軍デビューを果たした小幡も26試合に先発し、存在感を見せた。他にも北條が9試合、熊谷が1試合。植田や高卒1年目の遠藤も守れる。さらに巨人から金銭トレードで山本を獲得。ドラフト6位の三菱自動車岡崎・中野が即戦力として加入し、同7位の上田西・高寺もいる。来季は競争が激しくなりそうだ。

<阪神の主な1番・遊撃手>

◆吉田義男 史上最高の遊撃手は、俊足巧打も売りだった。通算350盗塁は球団歴代2位で、盗塁王も2度獲得。

◆藤田平 広角打法で吉田の後継者に。通算2064安打は阪神歴代2位で、鳥谷に抜かれるまで最多だった。

◆真弓明信 大型トレードで阪神入り。長打力と強肩好守を併せ持ち、85年の外野コンバートまで内野を引き締めた。

◆和田豊 狙ったところに打球を落とす卓越したバットコントロールで、低迷期に孤軍奮闘を見せた。通算1739安打は球団4位。

◆鳥谷敬 赤星憲広との1、2番コンビで相手をかく乱。抜群の選球眼で阪神最多の1046四球を選び、ひたすら塁に出続けた。