ロッテ佐々木朗希投手(19)は「夢のよう」と言った。少年時代からあこがれる田中将大投手(32=ヤンキース)の楽天復帰が決まり、29日の沖縄・石垣島での自主トレ後に純粋な喜びを口にした。自身も新フォームを試しながら、この日ブルペン入りして21球。プロ2年目のデビューへ精力的に動く。シーズン中の直接対決も期待できそうだ。伝説の右腕の8年ぶり日本復帰に、日米球界が反応した。

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ヒーローの日本球界復帰の報は、南国で力を蓄える佐々木朗にも届いた。「メジャーにいらしたのがまさか。同じプロ野球で、投げ合う(と決まった)わけじゃないですけど、一緒のステージにいるということはすごく夢のような気分です」と表情が緩んだ。

少年野球に打ち込みながらも、プロ野球選手に「なりたくなかったです」と回想するあの頃。特に好きなチームはなかった。好きな選手はいた。楽天の大エース、田中将大。母に連れられボールパークに行けば、ユニホームから何から買ってもらい、帰りの車は宝にあふれていた。

13年11月3日の夜を忘れない。田中が日本シリーズ第7戦の9回にマウンドへ向かい、日本一を勝ち取った。「東北の皆さんの前で胴上げすることができて本当にうれしかったです」。小学校の校庭にある仮設住宅で、テレビにかじりついた。球場のファンを魅了する力にしびれた。うれしかった。少年の、12歳の誕生日でもあった。

7年の歳月を経て、投げ合える男になった。石垣島のブルペン。まっすぐ立ち、グラブを首の前で構え、5秒ほどセットポジションで静止。顔をほとんど動かさず、テークバックを大きめに取り、まっすぐをまっすぐに投げ込んだ。

163キロを投げた日も、プロ1年目も、セットの時点でやや右足体重だった。構えたグラブは右耳近く。それが2年目の始めに変身した。「常に自分に合ったフォームを模索している段階なので。これからも常に変わっていくと思います」。生き残るため、進化への挑戦をひるまない。

投げ終えて「日に日に良くなってるかなと思います」といい表情を浮かべた。井口監督も今季戦力として計算する。投げ合う日はきっと来る。夢のある、特に東北の野球好きにとっては夢にあふれる一戦になるだろう。【金子真仁】

▽ロッテ田村(佐々木朗の球を受け)「まだ半分くらいの力。もっとすごい球が来ると思う。今日は145キロから150キロ出ていないかくらい。去年よりまとまっている印象です」

 

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