阪神藤浪晋太郎投手(27)が復調へ、新たな引き出しに手をかけた。6日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ球場)に先発し、5回を2安打3奪三振3四球1失点と粘投。「全体的にはバランスよく投げられたかと思います」。今季はワインドアップ投法を軸にしてきたが、この日は無走者時にノーワインドアップで投げ続けた。

4回に2四球2盗塁で2死一、三塁とされ、6番岡林に右前適時打を許した。それでも球速が出にくい球場で最速153キロを計測し、2軍降格前に増えていた大きな抜け球はなかった。中5日のマウンドで変わり身を見せ、平田2軍監督を「今日ぐらいのピッチングができれば何の心配もない」と納得させた。

2軍降格後初実戦となった4月30日の同広島戦は3回を6安打3四死球3失点。翌5月1日にはブルペンでノーワインドアップに切り替えていた。プロ2年目の14年にもシーズン途中から採用し、19年3月のオープン戦でも経験済みのスタイル。すぐさま実戦でも試し、1軍再昇格へ確かな1歩を踏み出した。

もちろん、課題がゼロになったわけではない。2四球を出した4回は直球を引っかける場面が目立った。変化球がまとまらない場面もあった。矢野監督は「開幕投手も任せた投手だし、晋太郎には爆発力がある」とした上で「早く戻れる状態にしてもらうのが先決。現状はそこまで行っていないと思う。まずはその状態まで来ることを楽しみに待っている感じかな」と続けた。

指揮官の言葉を聞く限り、次回のマウンドも2軍戦となる可能性が高い。藤浪は登板後、「もう少し変化球の精度が欲しかった。しっかり反省して次に生かせるようにしたい」と早くも来週を見据えた。誰もが納得する結果、内容を求めにいく。【佐井陽介】