阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)の交流戦ラストは、昨年のドラフトで同じ4球団競合1位だった楽天早川との対決となった。

2打席で右飛と空振り三振。「さすがにいい球投げるなという感じ。1本出したかったんですけど、打てなかったですね。今日は」。その後も2打席凡退で4打数無安打。それでも3日連続で観戦に訪れた祖父母にすべて勝利を届けた。

試合前練習中には祖父勲さん(82)がスタンド最前列まで近付いてきて、ポケットから茶封筒を取り出し、かわいい孫に小遣いをあげようと差し出した。佐藤輝は照れ笑いして手を振りながら「いいよ、いいよ、やめて!」と断った。その光景を見ていた大山、北川打撃コーチらは「おじいちゃん、かわいいな」と笑い、球団関係者から「輝があげる番だろ」と突っ込まれるほのぼのシーンがあった。

初の交流戦は全18試合に出場。ラスト6戦で5番に入り6連勝に貢献した。「チャンスで回ってくることも多く、そういう活躍ができたことは大きなこと」。この間は打率2割9分6厘で、新人最多記録を2本更新する6本塁打、同じく最多タイの12打点をマークした。「何でも一番を取るのはうれしい」と喜んだ。

ほぼ全ての投手と初対戦の中、5月28日西武戦(メットライフドーム)ではプロ初の1試合3発も放った。無安打は18試合で5試合しかない。それでも「やっぱり打てる時と打てない時の差がまだあるんで。波のない、常に同じような成績を目指せるように」と高みをにらむ。矢野監督も「期待値がどんどん上がるのは素晴らしいこと。その期待を超えていくような働きをしていける可能性を秘めているので、俺も楽しみ」とうなずき、シーズン再開後の大暴れを予感していた。【石橋隆雄】