西武は7日、松坂大輔投手(40)が今季限りで現役引退することを発表した。ここ2年は、昨年7月に受けた脊椎内視鏡頸椎(けいつい)手術の影響で1軍、2軍ともに登板ゼロ。手のしびれを訴えるなど、心身ともにコンディション不良に見舞われた。引退決断の背景には、コロナ禍に奪われたまぼろしの復帰登板があった。栄光と挫折の連続だった23年間に及ぶプロ生活をスタートさせた西武で、シーズン半ばに自らピリオドを打った。

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通算200勝まで残り30勝だった。現実的にはかなり厳しい数字に、西武復帰直後、松坂は「正直分からないけど、諦めずにその数字は追い求めていきたい」と強く意識していた。けがをして思うようにいかなくなったからこそ、余計に頭にあったという。すでに20年以上のキャリアを積み重ね、剛速球投手から「嫌いだった」という変化球中心のスタイルに変貌。本気で狙っていた。

昨年春季キャンプ直前、ある企画を打診していた。2月上旬は例年、キャンプ地の宮崎・日南で、サッカー元日本代表FWカズ(54)が所属するJ1横浜FCも実施している。そこで「キング×怪物」対談を企画立案。日本2大スポーツのレジェンド2人が顔を合わせる絶好のタイミングだった。結果的には日程が合わず見送られ、妙案だと思ったが実現には至らなかった。「オーラがすごそうですよね」と興味津々だった松坂。50歳過ぎてもなお選手として走り続けるカズからヒント、そしてパワーをもらえていたら…。と、企画倒れの空想を思い出した。【西武担当=栗田成芳】