ペナントレース前半戦が間もなく終わる。開幕5連敗のロッテは粘り、貯金状態で折り返す。その中で、開幕戦で5番に座った山口航輝外野手(20)は今、2軍にいる。右の大砲候補は32試合で4本塁打。活躍時の「五七五」披露も話題になったが、打率1割5分台と低迷し、6月からは2軍で鍛え直している。オンラインインタビューで思いを尋ねた。【取材・構成=金子真仁】

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最初に「どんな前半戦でしたか?」と尋ねた。迷いのない返答だった。

「今年は去年の悔しい思いをもって、開幕から絶対に1軍でやってやるぞという気持ちでオフからやってきたので、そこで開幕1軍をつかみ取れたのは良かったことですし、開幕スタメンで出させていただいたので。そこは予想外というか、そこまではうまくいってたんですけど、シーズンが始まってなかなか自分の結果が出なくなってきて、悩んだり、苦しくなった時期のほうが長かったかなと思います」

意外にも、自分から「悩んだ」「苦しくなった」と当時を回想した。開幕前には自身の長所として「迷いなく振れること」と挙げ「1年間1軍にいたい」と目標を掲げ「それをノルマにして頑張ろうと思っていました」と振り返る。元気で前向き。そんな姿の裏にも苦悩はあった。

積極的に振り、開幕戦にプロ初安打が出た。西武高橋、楽天岸、日本ハム宮西、ソフトバンク松本といろいろなタイプの、いろいろな球種を仕留め、4本塁打した。一方で92打数30三振。「多いと思いますけど、その中でもやっぱり本塁打がもうちょっと出てればいいのかなと。4本でその数字はちょっと多すぎるかなと思います」。

最も印象に残るのは、ソフトバンク和田との対戦だという。2三振した。「和田さんが一番当たる感覚が分からなかったです」。直球を強振し真後ろにファウルが飛んだが「思っているよりスピンが効いて伸びてきているので、なかなか捉えることができないなと」。上下数センチの差は想像以上に大きな壁だった。

昨年、コロナ禍で野手が大量離脱した際にも1軍昇格できなかった。「本当に悔しかった」とプロ3年目への原動力に。自主トレ、キャンプ、オープン戦で万全の流れだった。肝心のシーズンでの不調が苦しい。「空振りしたくない、結果を出したいっていう思いが強くて。その思いで、最悪の場面を考えながら打席に立ったこともありました。三振しちゃいけない、ゲッツー打っちゃいけない…まず、投手との勝負ができなくなっていたので」。

5月末に2軍再調整を言い渡された。「自分のレベルはまだまだ低いというのは2カ月で実感できたので、そこはいいふうにプラスに捉えて。また1からという思いで、今は福浦ヘッドコーチに見てもらいながらやっています」。1カ月以上先に2軍再調整となった藤原と同じように、下半身を使う打撃を体に染みこませることから始めた。

2軍合流後1カ月少々で、状態は上げてきている。6月26日のイースタン・リーグ楽天戦では、本塁打を含む3安打を放った。もう準備万全なのだろうか。そう問うと「まだまだ完成できていないです」と途上にあると明かした。

「そんな簡単に打てるとは思ってないですけど、いろいろな考え方を、鳥越監督や福浦コーチにも教わりましたし、気持ちの部分では開幕から2カ月とはまた違ったメンタルで打席に立てるとは思います」

間もなく一時中断するペナントレースは、8月半ばに再開する。夏真っ盛り、足元を固めきる。

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