日本ハム杉浦稔大投手(29)が、地元・帯広凱旋(がいせん)登板を果たした。14日、オリックス13回戦の9回に登板。帯広大谷時代まで育った地で、1回1安打無失点と好投し、チームの前半戦白星締めに貢献した。30勝42敗9分けの6位で折り返し。後半戦での巻き返しへ、守護神のさらなる活躍が期待される。

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この日一番の拍手を、杉浦は一身に浴びた。4点リードの9回。守護神として初めての故郷のマウンド。1安打無失点で締めると、4444人の観衆が沸き上がった。ヒーローインタビューでは「ただいま」と興奮気味に声を張り上げた。「お膳立てしてもらった感じです」と笑みをこぼしながら「その上で、しっかり地元の人の前で良い姿を見せられて良かった」と喜んだ。

心強い応援団が、杉浦を囲んでいた。妻の元テレビ東京アナウンサー紺野あさ美さんら家族、親戚一同23人が集結。三塁側ボールボーイは、北見市に住む会社員の弟・大介さん(27)が務めていた。「変な姿は見せられない」。5人姉弟の長男としても力が入った。

先発で登板した過去の故郷での悔しさを晴らした。ヤクルトから交換トレードで加入した18年は、3回もたず4失点でKO。19年は6回4失点(自責2)で敗戦投手となっていた。今回は抑えの重圧も背負っての登板で、成果を上げた。「後半戦にしっかり生かせるように」と弾みを付ける。

栗山監督は「何点差でもいってもらうと決めていた。いい形でいってもらえて良かった」と一緒になって喜んだ。前半戦ラストゲームを白星で飾った。借金12は重くのし掛かるが、後半戦は最下位からの反攻を誓う。栗山監督は先発ローテ再編を示唆しながら、打線は「誰かもっと打つはず」と期待した。

「北海道のファンの皆さんが悲しい思いをした分だけ、必ずなにか喜んでもらえる試合が多くなるはず。もう1回開幕出来ると思ってしっかりやります」と指揮官。故郷のファンを笑顔にした杉浦を筆頭に、後半戦は白星で声援に応えていく。【田中彩友美】

◆日本ハムと帯広 2年ぶりの開催で、前回19年8月29日西武戦では、先発杉浦が17年にヤクルトから移籍後自身最長となる6回を投げ4失点で、チームは2-5で敗れた。北海道に本拠地移転した04年以降、帯広での成績は20試合10勝10敗。通算4000勝(11年7月27日、オリックス戦)、北海道移転後通算1000勝(17年7月26日、ロッテ戦)などの節目の勝利がある。